セルフ・コントロールの心理学の第一章まとめ

セルフ・コントロールの心理学を勉強したので、1章のまとめを紹介する。

セルフ・コントロールと行動分析

セルフ・コントロールは、行動分析学だと、欲望の制御や、満足の遅延という意味で使われている。 健康心理学の分野だと、自己調節や自己管理という用語が使われる。

目標志向性行動を妨害するする行動、衝動、感情、欲望を抑制する個人的な能力とされる。


行動修正方によるセルフ・コントロールの改善 行動分析学では、オペラント条件付けの枠組みで、行動の形成、維持、消去の問題を捉える。 行動の手がかりになる「弁別刺激」、「弁別刺激の呈示化で自発されるオペラント反応」「その結果として与えられる強化子」という3つの要素を含む

色刺激の呈示が弁別刺激、キーを押したときに起こる反応がオペラント反応、その結果与えられる餌が強化子、 行動を変容させるためには、行動を取り巻く弁別刺激や、強化子を操作する。

刺激制御法

弁別刺激の操作は、具体的には肥満治療を受けている患者のお菓子の箱や、ファーストフード店などを食べずに、目につくところに食べ物を置かないとか、ファーストフードではなく市場へで出かける習慣をつける。

肥満の人はテレビや読書をしながら、食べる行為をするので、そのときに食べないように介入するのも効果的。

強化法

望ましい行動において報酬を与えたり、望ましくない行動に罰を与える。 前者を正の強化、後者を負の強化とする。

減量の行動を取ったときに、ポイントが溜まって賞をとれるようにしたり、減量に成功したら望む行動である父とのボーリングに行けるようにする。 減量がうまく行かなかったときに、預けていたお金を失うのは、負の強化。

報酬や罰を自分で行うこともある。成功した場合に好きな雑誌を買うなどを、自己強化や、自己報酬という。うまくいかなかったときに、自発的にお金を捨てることを自己罰という。強化によるセルフ・コントロールをする場合ンは、実効性を持たせるために、社会的な契約をむすぶことがある。これは、行動契約、随伴契約。

自己観察

行動を変化させることで、標的となる行動を記録することを自己観察、自己監視、自己記録と呼ぶ。標的の行動変更に効果的。

たとえば、学生が学習方法や理解度を、モニターする。自己観察は、自己の行動についての弁別を促進する。また、観察することが、その行動の明示的、非明示的な評価につながるという要因が重要なことも示唆されている。 そして、本人の抱える問題についての教育を促し、行動改善についての目標設定を促進することも影響しているのではないか。

認知的行動介入

認知的行動介入とは、行動を方向づける認知的および情動的な反応を制御すること。

最も基本的な介入は、教育。肥満の改善においては、基本的な栄養学の知識や、ストレスに対する適切な対処行動であるコーピングについての指示的な教育が効果的であることが示唆されている。

自己教示、思考制御とよばれる、行動を方向づける教示や面接も有効。

肥満に対する認知行動療法で重視される認知的最体制化も認知の改善を目的とした介入。

認知のゆがみや、不合理な信念(食卓に出されたものは食べのこさない)を改善すると、後期的な効果を高める。

認知の改善には、目標設定が重要な手法。ある日時までに一定の体重を落とすなど。

認知的、情動的な反応を制御するには、自助グループに取る介入もある。

これらの手法と、自己観察や自己強化を併用することで、患者の自己効力感や動機づけを高めることが、肥満や禁煙に置いて有効なことが分かっている。

選択行動研究の応用におけるセルフ・コントロールの改善

選択行動の研究とは、2つの選択肢があり、それを選択させる。一方は、選択するとすぐに小さい報酬が貰える。もう一方は、選択後に遅延があったのち、大きい報酬が貰える。だから、将来的に大きな報酬を得るために、遅延を我慢できるかの実験。

教育の分野であれば、「授業中に騒いでしまう」と「授業中に勉強する」の2つの選択を、強化と強化の即時性で説明できる。騒いでしまう選択は、すぐ満足感を得られるが、得られる満足感は一過性の小さなもの、即時の少報酬にあたる。勉強する選択は、すぐに満足は得られないけど、先生との有効な関係、高い成績、自信の増大の多様な満足、遅延される大きな報酬に相当する。

医療の分野であれば、食べたいだけ食べるという満足感の得られる小さな報酬か、減量して遠い将来にわたり、健康的な生活を手に入れる遅延される大きな報酬に相当する。

先行拘束によるセルフ・コントロールの改善

小さな報酬をもらうときに即時、大きな報酬をもらうときに遅延する状態で選択するよりも、どっちも遅延するが小さな報酬の方が遅延が短い状態にすると、選択の傾向が異なる。 即時の10000円か、1週間後の11000円で比較していたものを、1年後の10000円か、1年と1週間後の11000円で比較するような状態。 共通の遅延期間が大きくなればなるほど、選好の逆転が観測できた。

鳩の実験では、共通の遅延期間が少し大きくなれば、大きな報酬を選ぶものもいれば、かなり大きくなっても即時の報酬を選ぶものもいた。個体差が大きい事がわかった。 遅延する時間により未来の報酬の主観的な価値が低下する程度には、個体差がある。

これを表すには、双曲線割引モデルで説明するのが最適。

正の二次性強化子によるセルフ・コントロール

セッション中に消費される食べものや、ゲームのような一時強化子の場合には、しばしば衝動的な行動を取る。 負の強化子を使った場合にも、衝動的系な行動を取ることが多い。

だが、あとからお金に交換できるポイントが報酬だと、殆どの場合にセルフ・コントロールが見られる。しかし、得点が一定のスピードで減少し続ける場面で、ポイントの減少が一定時間だけ停止する負の強化子を使った場合には、衝動的な行動が出現する。

  • 1次強化子よりも、2次強化子を使った方がセルフ・コントロールが出現しやすい。
  • 負の強化子よりも、正の強化子を使うほうがセルフ・コントロールが出現しやすい。

負の強化子は、情動的な反応を引き起こす。 コルチゾール等の情動についての生理的な指標とセルフ・コントロールの傾向の間には、相関が見られることが報告されている。負の強化子は、巨視的最大化に必要な判断を低下されることによりセルフ・コントロールを低下されるのかもしれない。

行動増加 行動減少
出現 正の強化 正の罰
消失 負の強化 負の罰
  • 正の強化:与えられた(+)ことで行動が増える↑
  • 正の罰(弱化):与えられた(+)ことで行動が減る↓
  • 負の強化:取り除かれた(-)ことで行動が増える↑
  • 負の罰(弱化):取り除かれた(-)ことで行動が減る↓

http://www.counselorweb.jp/article/441254429.html

主観的な遅延時間の操作によるセルフ・コントロールの増強

関係があるのは物理的な報酬量や遅延量ではなく、主観的な報酬量と遅延時間。

遅延時間を予め体験させたあとに、実験を行うと主観的に感じる時間が短くなり、セルフ・コントロール力が増加する。遅延する選択をさせる訓練として、フェイディング法がある。 何度も試行しながら、だんだん遅延時間を大きくしていく。 これにより、だんだんと遅延時間の主観的な時間を短くすることができる。

逆に、一次性欲求を刺激し、特定の報酬を持っていることを意識させると、大きな報酬を選択する率を下げる。 報酬でもらうプレッツェルの味や食感を考えるように教示すると、セルフ・コントロール力はさがる。

報酬結束によるセルフ・コントロールの増強

衝動的な選択をしてしまう行動をしてしまう原因は、目の前の選択肢を近視眼的に捉えるから。これを回避させるために、各選択の価値を費用対効果の視点から捉える方法をあらかじめ教えると、セルフ・コントロールが増強される。

遅延される報酬を繰り返し選ぶことににより得られる報酬の総和を被験者に認識させる効果を持つ。

子供では、年齢とともにセルフ・コントロールが増強する。 形式的に考える能力が発達し、各選択肢の費用対効果を抽象的に考えられるようになったからと解釈できる。

遅延されない小さな報酬と、遅延される大きな報酬の実験で選択が4回できる実験を行う。 報酬結合、報酬結束と呼ばれる現在の選択と、未来の選択(2〜4)を結びつける手続きの効果を紹介する。

10日ごとに選択をし、遅延されない7.9ドルか、6日遅延される8.8ドルで実験された。この実験の金額には根拠があるが、今回は割愛。 自由連結、推奨連結、強制連結と呼ばれる3つの方法で実験。 自由連結は、毎回選択をできる。推奨連結は、現在の選択が後の選択の調光になることを説明して、毎回選択できる。強制連結は、初回の選択が、すべての選択になる。

予測実験に置いて、すべての被験者が小さい報酬を選んでいたのに、手続きを改良することで、自由連結では3割、推奨連結では5割、強制連結では9割以上の被験者が遅延される選択を選んだ。

予測式

  • R1/R2 = k(r1/r2)a

  • kは、偏好(bias)

  • aは、強化に対する感度
  • R1は選択肢1の反応頻度
  • R2は選択肢2の反応頻度
  • r1は選択肢1の強化頻度
  • r2は選択肢2の強化頻度