経験学習サイクルをよりよくするための工夫

経験学習サイクルとは、次の4つのフェーズに分けて経験を整理する方法である。

  • 具体的経験
  • 内省的観察
  • 具体的概念化
  • 能動的実験

具体的経験として、思い出しやすくするためには、2つの方法がある。

具体的経験

具体的経験を思い出すために有効なのは、時系列的な行動を列挙する方法。 これは、認知科学で言われるエピソード記憶の思い出し方に近い。

また、その行動から、新たにチャレンジしたことを見つけることも良いだろう。

内省的観察

列挙した事実や、新たに挑戦したことから、結果としてどんなことが起こったかを挙げる。 行動した結果どんなことが起こったかを振り返るだけで長時間かかったりする。 KPTで行うような、発生したよかったこと、悪かったこと、新しく分かった学び、など多様な観点で質問してもいいだろう。

時間がある場合は、一つ一つのやったこと、具体的経験について考えても良い。

具体的概念化

他の場所でも使える自分の持論を作る。 このとき、科学的な理論と結びつけることでより質の高い理論を作ることができる。

能動的実験

作った持論を新たな環境で適応してみる。 新たな実験をすることで、更に質の高い持論の構築を促す。

その他

期間や新しい経験の量、意思決定の数にも影響されるが、時間をかけて考えることで質が高まる。 多くの観点から、立ち止まって時間をかけて考えるようにしたい。

モチベーション理論の分類。

モチベーションの理論は、3つの水準と、4つの要因で紹介できます。

3つの水準とは、状況毎に変化する水準である一時的な状態である状態レベル、分野ごとに安定する水準である領域レベル、状況や分野に依存しない個人の特性レベルの3つ。

4つの要因は、認知、感情、欲求、環境(個人外)の4つに分類される。

状態レベルの理論としては、期待、情動、オリジン/ポーン感覚などがある。 領域レベルには、目標、特性興味、同一化的調整などがある。 特性レベルには、目標階層構造、自己目的的パーソナリティ、統合的調整などがある。

モチベーションとは、何か。

モチベーション、や動機づけについて調べてみると、多くの文献で同様のことが書かれていた。

以下の要素が含まれることが、必須のようである。 * 行動を引き起こす * 持続する * 方向付けする

この方向づける、一定の方向に導くという表現が少し分かりづらいかも知れないが、うまくいくように工夫をするとも取れる。

もう少し噛み砕いてみると、モチベーションは、ある行動を起こして、行動雨を持続させ、うまくいくように工夫する過程と言えるだろう。とはいえ、自ら学ぶ子供が、もともと噛み砕いて紹介してくれていたので、大きく変わりはなかった。

また、モチベーションを高めるための方法としては、セルフコントロールや、動機づけ方略、カウンセリングなどの解決法が研究されている。

自ら学ぶ子供

動機づけとは、「ある行動を引き起こし、その行動を持続させ、そして一定の方向に導くプロセス」

動機とは、「目標を達成しようとする気持ち」 積極的だと、何かを達成「したい」という気持ち。消極的だと「しなければならない」になる。

消極的だけど、やる気があるということは他律的なやる気なのだろうと予想できる。

[心理学辞典]

行動の理由を考えるときに用いられる統合概念。行動を一定方向に向けて生起させ、持続させる過程や機能全般を指す。 ある行動が、どのようなときに起こり、継続し、どの方向を向いているのかを説明するときに用いられる。

欲求と誘因(欲求の対象)があるときに、生起する。

新動機づけ研究の最前線

動機づけ(motivation)とは,行動や心の活動を,開始し,方向づけ,持続し,調整する,心理行動的なプロセスである 1 心理行動的プロセスが始発する契機(動機)がある。 2 心理行動的プロセスには目標(目的)があり,日標に向かうという意味での方向性(志向性)がある。 3 心理行動的プロセスには強さ(強度)力ある。 4 心理行動的プロセスを続ける(持続性)が,時間は限定的。 5 心理行動的プロセスの制御・調整がある(これは特徴に含めない人もいる)。 6 上記のすべての特徴は変化しうる。

モチベーションを学ぶ12の理論

モティベーションとは、行動が生起し、維持され、方向づけられるプロセス全般を意味する。たとえば、レポートを書くという行為であれば、その準備も含めて取り組みはじめる(生起)、そして調べたり、考えたりしながら書きつづける(維持)プロセスの全体を指し、そこには図や表を加えたり、文章表現を吟味したりといった行為の調整(方向づけ)が含まれている。 このようなモティベーションを支えているのが、積極的にレポートを書き進めようとする気持ち、すなわち「やる気」であることは容易に想像できるだろう。

やる気を出したい場面調査にメカニズムと対策を添えて

ヤフー知恵袋を調べてみて、やる気に関する直近40件くらいのお悩み相談を分類してみました。 人のやる気を出したいという意見もありましたが、今回は、自分のやる気が出ないというお悩みを。

一番大きく分類しやすいように感じたのは、「やらないといけないのにやれない」お悩みと、「やりたくないけどやらないといけない」というものであった。

やらないといけないのにやれない

前者は、受験勉強や、自己啓発など、自分のための勉強が多い。とはいえ、学校自体をやめてしまいたいというものもあった。こちらは、比較的セルフコントロールの理論を元に対策するのが良さそうである。

動機づけの3つの機能である、行動喚起、行動の方向づけ、行動持続のうち、行動喚起までは動機づけされていて、行動の方向づけや、行動持続まで至っていないため、やりたい、やらないといけないと思っているのにやれていないから感じるもののようである。

これは、先延ばしの心理学として、回避的先延ばしと、覚醒的先延ばしがある。

また、これを引き起こしているのは、自尊感情の問題も大きい。失敗への恐れやセルフ・ハンディキャッピングなども考えられる。

自己啓発のための作品作り、ブログを書くなどであれば、完璧なものを作りたい、すごいものじゃないと出してもダメだと考えてしまうため、アウトプットのハードルが上がる場合がある。

勉強の場合は、悪い点数をとったときの保険に「おれ、全然勉強してないんだよねぇ」って言えるように勉強をしていないのがセルフ・ハンディキャッピングである。

また、ほかの誰かからXXXしなよって言われているとしたら、そこには心理的リアクタンス(人に言われるとやりたくなくなる、他の人に勧められたら避けたくなる)のような気持ちが影響している場合もある。

それぞれのメカニズムに応じて、対応することで乗り越えられるのではないか。

やりたくないけどやらないといけない

後者は、自律的動機づけの理論でいうと、自律度の低い動機づけで仕事をしているため、精神的な苦痛を感じてしまっていると理解できる。

こちらに関しては、より自律的な動機を持つための支援をすることで改善されると考えられる。 これは、自己調整学習の動機づけ方略を用いることで解決する。 より自律的な動機というと、同一化的調整や、統合的調整である。

これに至るためには、自分の目標を今の行動を紐付けてあげるのが効果的である。 今後、こんな人になりたいという希望が、今の職場でこの仕事をすることが適している。のように考える。 研究でも、自分のためになるかどうか考えるような人は、同一化的調整の動機づけが強いことが分かっている。

また、内発的な動機をもつために、やるべきことを楽しくする方法を考えることも有効である。

付録 お悩み対象一覧(別の場所からの情報も含む)

「やったほうがいいとは思いつつ、やる気が出ない。」 「やりたいなぁともつつ」

  • 大学入試
  • 定期テスト
  • 普段の勉強、受験勉強
  • 学校をやめたい。周りの人がやめてしまって。
  • 学校には行くが、授業を聞かない。部活もいかない。

  • 趣味など、好きな活動。

  • 映画を見に行こうと思っていたのにダラダラしてしまう。

  • 子供を公園に連れて行ってあげたい

  • 手の込んだ料理を作ってあげたい

  • やる気が出なくて、会社を休んでしまう

  • 在宅ワークだからやった分貰えるけど、やれない。

  • 仕事でやらないといけない量は決まっているのに、やる気がないから、締め切り前に困る。終わらない。

  • 仕事はやる気を持ってやるべきなのに、やってない。

  • 人に迷惑をかけるからやっている(動機づけのレベルが低いから辛い)

・やっていることが楽しくない。楽しいと思っていたことが楽しくない。

セルフ・コントロールの心理学の第一章まとめ

セルフ・コントロールの心理学を勉強したので、1章のまとめを紹介する。

セルフ・コントロールと行動分析

セルフ・コントロールは、行動分析学だと、欲望の制御や、満足の遅延という意味で使われている。 健康心理学の分野だと、自己調節や自己管理という用語が使われる。

目標志向性行動を妨害するする行動、衝動、感情、欲望を抑制する個人的な能力とされる。


行動修正方によるセルフ・コントロールの改善 行動分析学では、オペラント条件付けの枠組みで、行動の形成、維持、消去の問題を捉える。 行動の手がかりになる「弁別刺激」、「弁別刺激の呈示化で自発されるオペラント反応」「その結果として与えられる強化子」という3つの要素を含む

色刺激の呈示が弁別刺激、キーを押したときに起こる反応がオペラント反応、その結果与えられる餌が強化子、 行動を変容させるためには、行動を取り巻く弁別刺激や、強化子を操作する。

刺激制御法

弁別刺激の操作は、具体的には肥満治療を受けている患者のお菓子の箱や、ファーストフード店などを食べずに、目につくところに食べ物を置かないとか、ファーストフードではなく市場へで出かける習慣をつける。

肥満の人はテレビや読書をしながら、食べる行為をするので、そのときに食べないように介入するのも効果的。

強化法

望ましい行動において報酬を与えたり、望ましくない行動に罰を与える。 前者を正の強化、後者を負の強化とする。

減量の行動を取ったときに、ポイントが溜まって賞をとれるようにしたり、減量に成功したら望む行動である父とのボーリングに行けるようにする。 減量がうまく行かなかったときに、預けていたお金を失うのは、負の強化。

報酬や罰を自分で行うこともある。成功した場合に好きな雑誌を買うなどを、自己強化や、自己報酬という。うまくいかなかったときに、自発的にお金を捨てることを自己罰という。強化によるセルフ・コントロールをする場合ンは、実効性を持たせるために、社会的な契約をむすぶことがある。これは、行動契約、随伴契約。

自己観察

行動を変化させることで、標的となる行動を記録することを自己観察、自己監視、自己記録と呼ぶ。標的の行動変更に効果的。

たとえば、学生が学習方法や理解度を、モニターする。自己観察は、自己の行動についての弁別を促進する。また、観察することが、その行動の明示的、非明示的な評価につながるという要因が重要なことも示唆されている。 そして、本人の抱える問題についての教育を促し、行動改善についての目標設定を促進することも影響しているのではないか。

認知的行動介入

認知的行動介入とは、行動を方向づける認知的および情動的な反応を制御すること。

最も基本的な介入は、教育。肥満の改善においては、基本的な栄養学の知識や、ストレスに対する適切な対処行動であるコーピングについての指示的な教育が効果的であることが示唆されている。

自己教示、思考制御とよばれる、行動を方向づける教示や面接も有効。

肥満に対する認知行動療法で重視される認知的最体制化も認知の改善を目的とした介入。

認知のゆがみや、不合理な信念(食卓に出されたものは食べのこさない)を改善すると、後期的な効果を高める。

認知の改善には、目標設定が重要な手法。ある日時までに一定の体重を落とすなど。

認知的、情動的な反応を制御するには、自助グループに取る介入もある。

これらの手法と、自己観察や自己強化を併用することで、患者の自己効力感や動機づけを高めることが、肥満や禁煙に置いて有効なことが分かっている。

選択行動研究の応用におけるセルフ・コントロールの改善

選択行動の研究とは、2つの選択肢があり、それを選択させる。一方は、選択するとすぐに小さい報酬が貰える。もう一方は、選択後に遅延があったのち、大きい報酬が貰える。だから、将来的に大きな報酬を得るために、遅延を我慢できるかの実験。

教育の分野であれば、「授業中に騒いでしまう」と「授業中に勉強する」の2つの選択を、強化と強化の即時性で説明できる。騒いでしまう選択は、すぐ満足感を得られるが、得られる満足感は一過性の小さなもの、即時の少報酬にあたる。勉強する選択は、すぐに満足は得られないけど、先生との有効な関係、高い成績、自信の増大の多様な満足、遅延される大きな報酬に相当する。

医療の分野であれば、食べたいだけ食べるという満足感の得られる小さな報酬か、減量して遠い将来にわたり、健康的な生活を手に入れる遅延される大きな報酬に相当する。

先行拘束によるセルフ・コントロールの改善

小さな報酬をもらうときに即時、大きな報酬をもらうときに遅延する状態で選択するよりも、どっちも遅延するが小さな報酬の方が遅延が短い状態にすると、選択の傾向が異なる。 即時の10000円か、1週間後の11000円で比較していたものを、1年後の10000円か、1年と1週間後の11000円で比較するような状態。 共通の遅延期間が大きくなればなるほど、選好の逆転が観測できた。

鳩の実験では、共通の遅延期間が少し大きくなれば、大きな報酬を選ぶものもいれば、かなり大きくなっても即時の報酬を選ぶものもいた。個体差が大きい事がわかった。 遅延する時間により未来の報酬の主観的な価値が低下する程度には、個体差がある。

これを表すには、双曲線割引モデルで説明するのが最適。

正の二次性強化子によるセルフ・コントロール

セッション中に消費される食べものや、ゲームのような一時強化子の場合には、しばしば衝動的な行動を取る。 負の強化子を使った場合にも、衝動的系な行動を取ることが多い。

だが、あとからお金に交換できるポイントが報酬だと、殆どの場合にセルフ・コントロールが見られる。しかし、得点が一定のスピードで減少し続ける場面で、ポイントの減少が一定時間だけ停止する負の強化子を使った場合には、衝動的な行動が出現する。

  • 1次強化子よりも、2次強化子を使った方がセルフ・コントロールが出現しやすい。
  • 負の強化子よりも、正の強化子を使うほうがセルフ・コントロールが出現しやすい。

負の強化子は、情動的な反応を引き起こす。 コルチゾール等の情動についての生理的な指標とセルフ・コントロールの傾向の間には、相関が見られることが報告されている。負の強化子は、巨視的最大化に必要な判断を低下されることによりセルフ・コントロールを低下されるのかもしれない。

行動増加 行動減少
出現 正の強化 正の罰
消失 負の強化 負の罰
  • 正の強化:与えられた(+)ことで行動が増える↑
  • 正の罰(弱化):与えられた(+)ことで行動が減る↓
  • 負の強化:取り除かれた(-)ことで行動が増える↑
  • 負の罰(弱化):取り除かれた(-)ことで行動が減る↓

http://www.counselorweb.jp/article/441254429.html

主観的な遅延時間の操作によるセルフ・コントロールの増強

関係があるのは物理的な報酬量や遅延量ではなく、主観的な報酬量と遅延時間。

遅延時間を予め体験させたあとに、実験を行うと主観的に感じる時間が短くなり、セルフ・コントロール力が増加する。遅延する選択をさせる訓練として、フェイディング法がある。 何度も試行しながら、だんだん遅延時間を大きくしていく。 これにより、だんだんと遅延時間の主観的な時間を短くすることができる。

逆に、一次性欲求を刺激し、特定の報酬を持っていることを意識させると、大きな報酬を選択する率を下げる。 報酬でもらうプレッツェルの味や食感を考えるように教示すると、セルフ・コントロール力はさがる。

報酬結束によるセルフ・コントロールの増強

衝動的な選択をしてしまう行動をしてしまう原因は、目の前の選択肢を近視眼的に捉えるから。これを回避させるために、各選択の価値を費用対効果の視点から捉える方法をあらかじめ教えると、セルフ・コントロールが増強される。

遅延される報酬を繰り返し選ぶことににより得られる報酬の総和を被験者に認識させる効果を持つ。

子供では、年齢とともにセルフ・コントロールが増強する。 形式的に考える能力が発達し、各選択肢の費用対効果を抽象的に考えられるようになったからと解釈できる。

遅延されない小さな報酬と、遅延される大きな報酬の実験で選択が4回できる実験を行う。 報酬結合、報酬結束と呼ばれる現在の選択と、未来の選択(2〜4)を結びつける手続きの効果を紹介する。

10日ごとに選択をし、遅延されない7.9ドルか、6日遅延される8.8ドルで実験された。この実験の金額には根拠があるが、今回は割愛。 自由連結、推奨連結、強制連結と呼ばれる3つの方法で実験。 自由連結は、毎回選択をできる。推奨連結は、現在の選択が後の選択の調光になることを説明して、毎回選択できる。強制連結は、初回の選択が、すべての選択になる。

予測実験に置いて、すべての被験者が小さい報酬を選んでいたのに、手続きを改良することで、自由連結では3割、推奨連結では5割、強制連結では9割以上の被験者が遅延される選択を選んだ。

予測式

  • R1/R2 = k(r1/r2)a

  • kは、偏好(bias)

  • aは、強化に対する感度
  • R1は選択肢1の反応頻度
  • R2は選択肢2の反応頻度
  • r1は選択肢1の強化頻度
  • r2は選択肢2の強化頻度

内発的動機づけと自律的動機づけ 第一部まとめ

速水 敏彦先生の内発的動機づけと自律的動機づけ: 教育心理学の神話を問い直すを読んだので、サマリと自分の考えを簡単に残す。

1章 学習動機づけを考える

1−1

内発的動機づけを大事にしましょうって教育が始まったけど、学習成果が一気に向上したわけでもないし、学習意欲が一気に向上したわけでもないよね。それどころか、日本の学習意欲は長期的に低下しているよね。(p4)

内発的動機づけは目的的活動で、外発的動機づけは手段的活動。 勉強すること自体が楽しくてやっていたら、内発的動機づけだけど、受験に工学するrためにやっていたり、褒めてもらいたくてやっているなら外発的動機づけ。(p8)

外発的動機づけが、アンダーマイニングを生むというけど、それは他者にコントロースされているという感覚に注目するから。賞や商品を得ることで有能感が高まることもある。(p8)

だとすると、やっぱり、賞は後からあげるのがよくって、賞で釣らないほうがいいのではないか。

センソリーの2014年の研究では、内発的動機づけがパフォーマンスに(.21~.45)ほどの相関あるので、内発的動機づけから結果を予想できる。その場合、賞や昇進などの誘引が内発的動機づけに伴っていても影響は少ない。(p9) 誘引が明確で直接的にパフォーマンスに影響するときは、内発的動機づけはパフォーマンスに重要ではない。誘引が不明確で間接的にパフォーマンスに影響するときは、内発的動機づけはパフォーマンスに重要な影響を与える。(p10)

内発的動機づけは、パフォーマンスの質に影響を与えて、外発的動機づけはパフォーマンスの量に影響を与える。(p10)

お絵かき実験でメダルを与える場合も、絵を描くのに質を減らしてたくさん描くようになった子がせつめいされているが、それではなかろうか。

学校教育だと、自由記述内容の質は内発的動機づけで予測でき、計算問題の数は誘引で予測できる。(p10)

1−2

藤井聡太棋士の育て方が話題になったが、お母さんは好きなことに打ち込んでいるのを見守っただけだとしている。とはいえ、中学生の男子は、そんな何かに打ち込むことは少なくて、漫画やスマホばかりになるのではないか。 小中高時代に内発的動機づけが働くのは特殊な場合ではないか。大人の職場でも、自分で選択した好きなことだけやるのは難しい。(p13)

子供には勉強の楽しさを知ってもらいたい、社員には仕事の楽しさを。やらなければならないことを、楽しんでやれと言っているのではないか。だから、好きになってくれるように仕向ける、と。(P16)

動機づけには、物事を始めさせることと、行動を持続させる力がある。知的好奇心では、開始させる力が強いのではないか。面白そうとか不思議だという気持ちは一時的で消滅しやすい。動機づけは、目標に到達するまでに持続する力のようなものなので、目標に到達するまで行動を持続させる必要がある。これを努力というのではないか。(p17)

内発的動機づけは、行動の開始に起爆剤のような働きをするが、環境の変化で失われたり、慣れが生じたりする。(p17)

2011年の研究では、内発的動機づけの高さでは、学業成績の高さを予測できなかった。学業達成の間には弱い相関しかない。これは、ペーパーテストで、記憶力と理解職を測っているからかもしれない。(p19)

動機づけは時系列的に変化するし、同時に複数を発揮する場合もある。授業を始めますよと先生がいって授業を始めるのは、外発的動機づけだけど、授業を始めてみたら面白くなってきたら、内発的動機づけで、分かった人から答えてください競争ですよ、と声をかけるとまた外発的動機づけになる。(p19~21)

2章 自己決定理論の光と闇

自己決定理論の各動機づけをまとめて表現するRAI(relative autonomy index)指標がある。統合的動機づけは、尺度化が難しいので入っていない。(p32)

有機的統合理論は、応用分野として、人間関係、宗教への進行、愛他的行動、レジャー・趣味、反社会的行動の動機詰めまで適応できることを示唆した研究もあるし、学校と学習、職場での動機づけ、スポーツとエクササイズ、ヘルスケアと心理療法、宗教、バーチャル世界、などなど多くの分野に使われる。(p34)

擬似内発的動機づけとして、他者から表層的な面白そうなことを与えられるものを分類する。内発的動機づけは、本人の中に内面化されるもの。擬似内発的動機づけは、他律的で受け身に感じることがある。(p35)

例として、教師が面白い授業を作ることが示されているが、ビデオゲームアミューズメント施設などのおもしろさも、他律的な内発的動機づけに当たるのではないか。

大人が一方的に働きかけるのではなく、本人の自律性の支援をすることが大事。これは、自己決定rの理論では、「自律性への欲求」(p39)

自己調整学習とは、他者から言われること無く自ら持続的に学ぶことが重視される。段階として「予見」「遂行」「自己焼殺」 の段階で「動機づけ」「学習方略」「メタ認知」に関わって適切に自己調整していくことが必要。ただ面白いではなく、自ら重要と思ったものを粘り強く学ぶ。好奇心だけではなく、社会的に必要だと思うものを自ら重要だと認知して自らを動機付けていく(p44)

動機づけの自己調整方略は、快感情を伴い状況というより、快でな状況のなかでやり遂げたいという気持ちのときに最も駆使される。(p45)

自律的であることは、内生的な考えにより活動することを意味する。自分で責任を持つ自己承認しうる活動。(自律性を身に着けるには、外部あるいは他者からの情報を受け入れ、自分なりに取り込み、自ら使っていく。p45)

著者は、内発的動機づけを有機的統合理論の最も自律的なものとして分類されていることに疑問をもっている。楽しいからやるという内発的動機づけは、はたして必要だからやるという気持ちである同一化的調整よりも、自律的だと言えるのだろうか。

モティベーションの12の理論 2章まとめ

サマリ

認知的評価理論

  • 環境要因の内発的動機への影響(ご褒美で釣ることで、内発的動機が低下する)

有機的統合理論

  • 外発的動機づけは、自律度に応じて4段階に分割できて、一番自律的なのは憧れで、非自律的なのはご褒美 
## 因果志向性理論

  • 個人の特性として、無気力、外発的、自律的に分割。自律的はストレスに強い。

基本的心理欲求理論

  • 人間の基礎的な欲求として関係性、有能さ、自己決定があり、満たされると自己実現し、健康で幸せになれる

目標内容理論

  • 人生の目標を内発的(人と仲良く、成長、社会貢献)と外発的(お金持ち、有名、美人になる)に分類して、自己実現、健康、幸福につながる。

要点

認知的評価理論

  • 最初にどんな動機づけがあったかによってご褒美の影響が異なる
  • ご褒美が必ずしも悪いわけではない、憧れの学校に入るために勉強することも重要ではないか。
  • お絵かきがすきな園児に、「ご褒美をあげるから絵を描いて」とお願いしたら、ご褒美がなくなったら絵を描く量が減った。
  • アンダーマイニングが起きるのは、ご褒美ではなく、ご褒美を期待する認知

  • 自ら行動している(行動の主体である)という認知が内発的動機を高める

  • 他者によって強いられている(行動の主体ではない)という認知が内発的動機を高める

  • 報酬によって有能感が高まると内発的動機が高まる

  • 褒め言葉によるエンハンシング減少は、褒め言葉で有能感を高めている

  • 報酬には、主体を変えられる効果と、有能感を高める効果があるが、効果の大きいどちらかの作用がある

  • ご褒美で内発的動機が低下するのは、ご褒美を約束して与えた場合や、与えられる人が与える人が統制しようとしていることを感じた場合

個人コメント

→ てことは、褒め言葉も相手を操ろうとしていると認知されると、内発的動機が下がる。 → 褒めなくても有能感を高めることはできるはずで、うまくいったことを認知しやすくするとか、繰り返し向き合うようにしてあげればいいのではないか。 「今回、これをやったから、こんないい結果に結びついたのかもね。」「今回はうまくいったんだね。」

有機的統合理論

  • 外的調整:言われるから、叱られるから
    • 報酬の獲得や罰の回避
  • 取り入れ的:やらなければならない、恥をかきたくない、バカにされたくない
    • 自我拡張や他車比較による自己価値の維持、罪や恥の感覚の回避
  • 同一化的:自分にとって重要、将来のために
    • 活動の価値を認め、自分のものとして問入れている状態
  • 統合的:やりたいと思うから、価値観と一致しているから
    • 自分の価値観と一致して違和感なく取り入れている

尺度:(西村、川村、櫻井2011) 西村 多久磨, 河村 茂雄, 櫻井 茂男 自律的な学習動機づけとメタ認知的方略が学業成績を予測するプロセス—内発的な学習動機づけは学業成績を予測することができるのか?—

  • 学業成績に最も影響があるのが同一化的調整
  • 精神の健康に最も影響があるのが内的調整(統合+内発)
  • 就業動機が自律的であるほど業績への影響は大きく精神的に健康

因果志向性理論

田中 秀明, 桜井 茂男, 一般的因果律志向性尺度の作成と妥当性の検討

目標内容理論

  • 幼い頃の親の養育行動が、子供が大学生になったときの人生目標に影響を与える
  • 親が統制的に関わり、冷たく接していた場合に人生目標が外的になりやすい。
  • 経済的に豊かだからこそ、外的な人生目標だと不健康になりやすい