時代により移り変わる教育の3つの制度から仕事について考えたこと

概要

教育心理学概論では、3つの教育態として「徒弟制度」、「公教育制度」、「生涯学習」があることが紹介されていた。 就活をしていたときも、社会人になって勉強会に行ってからも、気になっていたことが、この説明で継がった。 今あらためて採用する側の立場と採用される側の立場から考えたことを残しておく。

教育心理学の三態の紹介

教育心理学概論の13章には、3つの教育態があることが紹介されていた。 徒弟制度、公教育制度、生涯学習の時期がある。

徒弟制度

社会的にプロと認められた親や親族の元に弟子入りして時間をかけてプロになっていく学びの形。 親方がゴールを決め、これから学ぶ人よりも学んでいる人が多い。 自分に与えられたことをこなしながらプロになっていく。

公教育制度

産業革命後、親と親族と違う仕事に就くようになり政府が行なうようにあった教育。 仕事のやり方そのものを覚える知力、要求に対応できる訓練可能性を重視される。 言われたことを言われた通りに再生できる能力が求められる。 訓練可能性

生涯学習

興味に従って学び方の選択肢の中から、自分で選んで学ぶもの。 インターネット技術の進歩でいつでも学べるようになり、基礎的な能力を何度も学び続けなければならくなった。 学び方を学んでいく。

採用する側の立場から

就活を受けるときに違和感を感じたことについて考えてみる。 就活の時に、SIer受けてたときに「大学生活で技術を勉強してきました」って話をしたときに、 人事からは「技術を勉強しましたって話はサッカーを頑張りましたっていうことと同じくらいの評価です」と言われた。 どうして、大学で技術を身につけた学生とサッカーをがんばった学生の評価が同じなのか謎に思っていた。

ここで人事が持っている考えは、公教育時代の目標は、同じようなことの出来る人間の育成であり、訓練可能性の高い人を 採用したいと考えている。なので、すでに何かを身に付けているかはどうでも良いことと捉えたようである。 企業は、何でも早く身につけることができる人、育つ人を探していたのである。

3つの教育態から考えると、大学時代に技術を身に付けた学生というのは、 大学時代の公教育だけで技術が身につくかというと難しいこともあり、 バイトとしてどこかに入り徒弟制度的に身に付けたものと、生涯学習の習慣が身についているものがあるのではないだろうか。 もし生涯学習が習慣になっているのだとすると今後の成長が大きく採用したい。 また、業界と同様のスキルを身に付けてきたということで、ある程度の適正もあると考えられ、リスクが低い。

だからといって、サッカーを頑張ってきましたという学生が良くないかというとそんなことはない。 21世紀型スキルSCANS という今後必要になってくる能力として紹介されているものでも、「Interpersonal(人間関係能力)」や 「Systems(組織理解・設計・改善能力)」が必要となっていることが書かれている。 これはスポーツなどの集団競技をすることで磨かれる。

学生は将来の事を考えて行動しているはずで、サッカーをやっていた人にも、技術を身に付けた人にも こだわりがあるはず。なので、「○○と同じ」といった発言は、学生が両方のメリットや重要性を感じていないと 誤解をされるだけある。 そして、重要な習慣や考え方は何をしているか、からだけでは読み取れるものではない。 そのため、「何をしていたか」から判断するのではなく、「なぜやっているのか、どうやっているのか」を聞く方が良い。

採用される側の立場から

学生の立場から、このような採用側の考え方に対してどう振る舞うべきか。

公教育のまま素直に受け入れ就活を向えた人は、 公教育のまま、「言われたことを言われた通りに再生できる能力」を重視された会社に入るのが良いのではないか。

生涯学習を習慣化していて就活を向えた人は、 会社が生涯学習の習慣を大事に考えてくれるか確認する方が良い。 生涯学習の習慣を重視してくれる会社であれば、身に付けたスキルも大事にしてくれるし、 会社に入ってからも学ぶ姿勢を評価してくれる。

まだ就活まで時間のある人は、自分の興味に従って好きなことを学びながら、 学び方を習得していくことが望ましい。自分の興味のあることにエネルギーを費やす。 趣味でも、仕事で役に立つものでも、上達することで自分の上達の方法を学ぶ。

具体的には、時間があれば1人でスキルアップできるものと集団でスキルアップするものを 試すのが良い。21世紀型スキルSCANS からも「Resources(資源配分能力)」「Information(情報収集・整理能力)」 「Technology(技術操作能力)」は1人で磨くことができるが、 「Interpersonal(人間関係能力)」「Systems(組織理解・設計・改善能力)」については他の人と一緒にやることが必要である。

まとめ

教育心理学概論における、3つの教育態として「徒弟制度」、「公教育制度」、「生涯学習」の特徴を紹介した。 採用する側の立場では、それぞれの人が自分で考えて出した結果に対して、深く理解しないうちに結論を言わないようにする。 時間を取って話をするときには、どうやっていたか、どうしてやったかの部分を深く聞く。 採用される側の立場の人は、時間に余裕があれば自分で学ぶ習慣を身に付け、まだ余裕があれば複数人でチームを作って学ぶようにすること良い。