学習科学ハンドブック 第4章 メタ認知 メタ認知に関する3つの知識

  • メタ認知は、簡単にいうと、自らの心の内容や過程について考えること。
  • 認知の特徴を記述する場合の認知のことを指す。
  • 日常的な行動や課題解決から、特定分野の上達まで重要な関わりをしている。

  • 思考関係の課題を解くときに、以下のようなときに発生する。

    • 事前:
      • 知識やスキルが利用できるか予想する
    • 事中:
      • 進捗の確認
      • やり方が上手く行っているか
      • 進捗を改善するために方法を変えるか考える
    • 事後:
      • 学習を振り返る
      • どのくらい効果的か評価する
      • 似た課題に使えそうか考える
  • メタ認知に関係する3つの知識

    • 宣言的知識
      • ”これが当てはまる”という形の命題
      • 内容
        • 自己効力感についての信念
        • 知識についての信念(認知論的信念)
        • 課題についての信念
        • 戦略が使えるかどうかの信念
      • 例えば、パリはフランシュの首都である
    • 手続き的知識
      • 課題を遂行するために必要な方法についての知識(ノウハウ)
      • 例えば、検索事に「”」でくくると1単語として扱われるなど。
      • 特定領域に特化したものも、一般的につかえるものもある
    • 条件的知識
      • ある命題が当てはまる設定
      • いつ、なぜ宣言的知識および手続き的知識が課題に関連しているのか知っていること
        • なぜ、作戦が有効なのか
        • いつ適応するのがよいのか
      • ある手続きが目標達成にとって適切かどうかの知識
      • IF−THENルールで記述される
      • 例えば、太字の単語は覚えたか確認することが重要
  • 3つの知識へのメタ認知

    • メタ認知的宣言的知識
      • 当該知識を持っていることを本人が自覚しているということ
      • 例えば、「『パリはフランシュの首都である』ということを知っている」ことを知っている
      • 宣言的知識が言語化される
      • メタ認知的宣言的知識を持っていても、適切な戦略を使えるとは限らない
      • 戦略が使えないときは、環境の要因で、動機づけや能力が損なわれている
    • メタ認知的手続き的知識
      • 適応は経験を通じて発達
      • 馴染みのある問題では自動化される
      • 手続き的知識の学習過程
        • 初めは非常にメタ認知的に意識的
        • 習得されると意識的な注意やコントロールが不要になる
      • 宣言的知識とくらべて、メタ認知的には気づきづらい
      • 慣れてしまうと気づけなくなるので、初期学習時に手続き的知識を顕在化、外化(手順書)などするのが良い
      • 手続き的知識を持っていることがどれだけ自分の行動に影響を与えているかは気づいてないことが多い
      • 手続き的知識を変える場合には、手続き的知識に対するメタ認知的気付きを与えるのが良い
    • メタ認知的条件的知識
      • 条件的知識がないと、宣言的知識が有効にならない
      • 馴染みがない問題や、複雑な問題や文脈で、戦略を適応させたり転移させるのに重要
      • 戦略のプロセスをモニターして戦略の適応方法を変更することが必要
      • 複雑さ、不確実さ、曖昧なフィードバックを扱うとき、文脈条件か、条件的知識、自己効力感の知識が必要になる