Dr.コトー診療所 第1巻 分析
設定
主人公
動機(根本的な考え方)
自分が損をしても、多くの患者を幸せにしたい。
欲求(動機が元になって発生する行動や言動)
自分が医療ミスをしたと責任を問われるかもしれない状況であっても、 どんなに悪口を言われたり反対されても、相手を救う。
自分がどう思われるか、得をするか損をするかなんてどうでもいい。 自分が怪我をするかもしれないリスクを負ってでも、患者を助ける。
能力
医大でも有名だと言われた凄腕の外科医
- 離島の診療所に、東京から来た凄腕の医者。
- 凄腕なことが分かるシーン:船の上で手術をしてしまう
自己評価
非常に高い。 どんな難しい手術でも、自分から積極的に取り組む。
内容1 盲腸の子を船の上で手術した話
こちらは、『「物語」の作り方入門 7つのレッスン』を参考に分析。
セットアップパート(いつ、どこで、だれがを提示)
- 現代
- 離島
- 医大で凄腕だった天才外科医
最初の事件(好奇心を刺激、読者がCQをぼんやり設定)
島まで乗せてもらった船の運転手(漁師)の息子が体調悪そうにしている
展開* 葛藤パート (主人公を阻む障害)
- 成功指標: 体調が悪そうな漁師の息子を助けられるか。
- 動機: みんなの病気を直したい
- 障害: 島の住人たちから信頼されない
クライマックス直前(困難)
- 漁師は、腕もわからない施設も足りない島で見てもらうなんて嫌
- 主人公を振り切って6時間かけて本土まで輸送して手術してもらう
クライマックス
- CQ:時間がないので船の鍵を海に投げ捨てたように見せかけて、船の上で息子の手術をする。
解決パート(気持ちをフォロー、ネタ解説)
- 手術は成功して、息子は完治
- 主人公を信じなかった漁師は、過去に島の診療所の医者の誤診で奥さんを亡くしていた。
内容2 大動脈瘤のおばあさんを診療所で手術した
最初の事件(好奇心を刺激、読者がCQをぼんやり設定)
おばあさんが血を吐いて倒れてしまった
展開* 葛藤パート (主人公を阻む障害)
- 成功指標: 大動脈瘤のあるおばあちゃんを助けられるのか
- 動機: みんなの病気を直したい
- 障害:
- 本土の病院で手術してもらえば治るのに、本土には行きたくない:島で手術
- 過去に夫がガンのときに抗がん剤治療が辛そうだった
- 寿命は2ヶ月と言われたが、島で療養したら1年位生きられた
- 本土に行くくらいなら舌を噛んで死ぬと言われた。
- 本土の病院で手術してもらえば治るのに、本土には行きたくない:島で手術
クライマックス直前(困難)
* 手術に必要な血をもらおうとした:過去に助けた漁師が手伝ってくれた
* 本土からは施設の少ない病院に血を渡すと責任問題になるから無理
* 漁師にお願いしても、協力したくない
クライマックス
- CQ:開腹と同時に瘤が破裂して大量出血したが手で抑えてなんとかした
解決パート(気持ちをフォロー、ネタ解説)
- 手術は成功して、おばあちゃんは元気に。
- 息子から感謝をされた
内容3 サーフィンに行って溺れた看護師を救えるのか
最初の事件(好奇心を刺激、読者がCQをぼんやり設定)
波の強い日にサーフィンに行った2人が溺れてしまう
展開* 葛藤パート (主人公を阻む障害)
- 成功指標: サーフィンで溺れた人を助けられるのか
- 動機: みんなの病気を直したい
- 障害:
- サーフィンに誘った若者が軽度のケガ
クライマックス直前(困難)
- 若者が、溺れて1時間立っている看護師よりも自分の友人を先に見ろという
クライマックス
- CQ:溺れて1時間も海の中に居た看護師を救えるのか?
静脈に生理食塩水を点滴しながら、繰り返し人工呼吸を繰り返す。 地味な作業だからか、過去に救えなかった患者の人呼吸シーンが主人公の脳裏によぎる。
解決パート(気持ちをフォロー、ネタ解説)
- 蘇生して元気になりました
- 1時間も海の中に居たけど助かったのは、低体温症で酸素があまり必要じゃなかったから
医療的なネタ解説は1ページで、ナレーションメイン。
内容4 島の診療所で早産の妊婦さんは助けられるのか
最初の事件(好奇心を刺激、読者がCQをぼんやり設定)
被害妄想を持っていて、周りで噂されて実家の近くをうろつくのが怖いと思う妊婦さんが登場。
展開* 葛藤パート (主人公を阻む障害)
- 成功指標: 島で居所がない妊婦さんを助けられるのか
- 動機: みんなの病気を直したい
- 障害:
- 結婚相手が母国の会社から呼ばれて、一人で生むことになってしまった
クライマックス直前(困難)
- 妊娠中毒で、胎児を取り出さないと母体が危ない
- 胎児を取り出すと未熟児で島の施設では生きられない可能性が高い
- 母親からは、自分の体がどうなってもいいから子供を助けて欲しいと言われる
クライマックス
6ページ
- CQ:妊婦さんと胎児の両方を助けられるのか?
帝王切開をしたら、子供が未熟児で呼吸も自分でできなかった。 綿棒とストローを使うことで、呼吸をさせることに成功したが、低血糖に。 ブドウ糖を点滴しようとしても、腕から静脈が見つけられない。 へその緒から、ブドウ糖を注入し、ペットボトルで酸素供給することで事なきを得る。
解決パート(気持ちをフォロー、ネタ解説)
- 無事生まれた子供を見て、反対していた父親も可愛いと感じる。
- 子供の父親がどんな人かわかる
- どんな事情があって妊婦さんが一人で帰島したか分かる
- 最後には、母国に帰った父親が尋ねてくる(最後1ページの2/3だけ登場)
表現方法の工夫
専門用語はあえて出しながら、下に説明を書くようにしている。
1つの大きな話が、2話55ページ程度で作られている。 * 治療シーン:10ページ程度(治療編の話が1話分、治療以外は人間ドラマ) * 前兆シーン:6ページ(連続ではない) * 最初:3ページ目くらいで2ページ * 診断シーン:3ページ