新人研修に必要な性善説と枠組みの考え方

新人研修で面白い話を知れたので、それについて考えていきます。

研修で問題発覚

たとえば、 新人研修や教育現場でこんなことはないでしょうか。

想定していた状況と、新人の行動が全然違った。

  • 他人の課題を写して提出している
  • 締め切りまでに課題を終わらせていない

こんなとき、みなさんならどう思いますか?

  • 新人の出来が悪い
  • 出題した課題が悪い

「新人の出来が悪い」と思うと、思いつく対策は 「今年の新人は出来が悪いから、説教をしなければ」 となるかもしれません。

「出題した課題が悪い」と思うと、思いつく対策は、 「課題の作り方や目的の伝え方が不十分だったから、課題を見直したり伝え方を変えなければ」 のようになるのではないでしょうか。

新人の立場で考える

新人の立場に立って考えてみると、こうでしょうか。 自分なりに出題された課題を熟してみたものの、先輩から 「お前たちの代は、課題の提出が遅いし、人のものを写しているではないか」 と言われます。

どのくらいの期間に何を終わらせるのかも分からないまま課題をやり、 一方は、早く終わらせなければいけないと思い、課題を移してでも早く提出すれば怒られ、 もう一方は、時間をかけてでも自分で解くことが大切だと自力で課題に向き合っていれば課題を提出するのが遅いと言われ。

課題として何を目的なのか伝えてもらればできたかもしれない、 何が目的か考える時間があれば考えたかもしれない。

そんなとき、先輩から以下の3つの言い方をされるとどう感じるでしょうか。

「ごめんごめん、説明が悪かったから目的が伝えきれていなかったね、 本来の目的はこれだから、こんなふうに課題をやってほしいんだけどいいかな?」

「お前たちは、課題のやり方も締切の意識もなさすぎる。学生じゃないんだから、 仕事なんだから、やってくれないと困るんだけど。 課題は、コピペは言語道断。それはカンニングと同じだから不正だよ。」

「ああ、そういえば、課題の目的とか説明していなかったよね、 今回の課題は現場で仕事をする上でどんなことを身に着けてほしいと思っているか、 みんなで話をする時間を設定するよ。 あとは、それだけでは不十分だから、先輩の業務はどんな感じで進めているか見学できる時間も調整するね」

1つ目は、目的を伝えていなかったことを謝罪し、目的を説明する。

2つ目は、不満を感じていることを伝えて、どうやってほしいか細かく支持をする

3つ目は、自分たちで課題の目的について考える時間を設定して考えてもらい、自ら気づいてもらうようにする。

なぜこうなるのか

理由としては、 「原因が自分たちにあると感じているのか、新人(受講者)になると感じているのか」 「自分の当たり前と、相手の当たり前が違うことを理解していない」があります。

原因の所在

エンジニアの場合、プログラミングをしているとプログラムが動かなかったときに、コンパイラに問題があると思ったり、 IDEがエラーを出すのが間違えていると思う人は少ないんじゃないでしょうか。 自分が間違えたコードを書いたから意図する通りに動かなかったと思う(自責の)人が多いみたいです。

しかし、新人研修になると、それが一転して新人(受講者)に問題があるから、 想定通りの行動をしないと思う(他責の)人が多いみたいです。

当たり前が違う

当たり前ですが、自分たちの持っている情報の全てを新人が持っているわけではありません。

これまでの経験や、今ある情報から次の行動を選択しています。

その部署の現場での業務がどんなものが分からなければ、 想像してよしなに解決することは不可能でしょう。

これはやっていいのか分からなければ、無難な方、人に迷惑がかからなそうな方など、 自分たちが正しいと思うことを選択して行動するのではないでしょうか。

人によって物事を考える思考の仕組みや、情報が違うことを認知科学では枠組みの違いといいますが、 今回は枠組みが違うことを理解せずに研修を進めた結果起きたことだと考えられます。

間違えたやり方のままだと何が困るのか

他責にして研修が改善されなかった場合、毎年同じ説教を行わないといけなくなるでしょう。 説教をすることでのマイナスは、他にもいろいろなものに波及思想です。

自責で研修を改善していくと、より良い研修に進化してどんどん新人は想定したスキルやマインドを身に着けて現場に来てくれるようになるんではないでしょうか。

  • 「コピペ提出している人を呼び出して問いただす」
  • 「締切までに絶対完了させるように厳しく言わないと」
  • 「課題の意図を適切に理解できるように説明しないといけないのか、いまの新人は。」

こんなふうに思うこともあるでしょう。

これも1つの解決法だと思います。 しかし、理解してほしいことがあるなら、これでは不十分かもしれません。

プログラミングだと、コンパイラが動かないからコンパイラを変えようとしないのに、新人研修で新人が思った通りに動かないと新人を変えようとする。

提出が遅れてるなら、締め切りでガチガチにマネジメントしないと、、、って、 締め切りはあったほうがいいと強く押す研修作成係 反対するメンター、状況の確認をしようとする。