卓球教室でのコーチによる教え方の違いに対する考察(コンテンツとフィードバック方法)

過去にも書いた卓球教室ネタを。 継続して同じ卓球教室に参加しているのですが、これまでに4人のコーチにマンツーマンで 教えてもらうことができました。 同じ卓球教室でも教え方や教えるコンテンツといったものは統一されておらず、 コーチごとに教え方や教える内容が違っていました。
そのため、気になった違いに対して考察してみます。

概要

前提

コーチの実力としては、全員が大学の卓球リーグで上位選手として活躍していたようである。

自分は卓球でカットマンという戦い方をしている。

教えてもらったコーチのうち3人はカットマンではなく攻撃マンという戦い方をしている。 カットマンとしての技術を習得したいという要望に対して、全員が快く教えてくれた。

教えてもらった順番としては、3人目までは攻撃マンで、最後に教えてもらった人がカットマンであった。

攻撃マンのコーチにカットを教えられるのか確認したところ、 仲間内にカットマンが存在すること、遊びでカットをやってみることもあることを理由に、教える事ができると回答をもらった。

教える内容

攻撃マンのコーチと、カットマンのコーチにカットを教えてもらったことを比較すると、 前者に比べて後者の教える内容が非常に多かった。

カットマンの方が教えてくれた具体的な内容をいくつか紹介する。 カットで前に飛ばすのは腕のちからではなく足の力であり前後へ体重移動をする力を利用して前に飛ばすこと、打球するタイミングが遅くなって救うようになうと回転が弱くなってしまうので避けること、打ち終わったらラケットを体の前の定位置に戻すこと、などを教えてもらった。 また、自分の打球したボールをコーチが手でキャッチすることでカットの回転の強さを確認することも多かった。 他に、自分が打っているとき、どんな時はうまくいくか、どんな時はうまくいってないかをフィードバックしてもらえた。

今回のカットマンのコーチは全日本大会という大きな大会に出場しているレベルの方なので、カットマンの中でも高い水準かもしれないが、多くのことを教えてもらえた。

攻撃マンのコーチは、カットを教えるときに考慮しないといけない観点が足りなかった。 重要な基礎的なところが身につけられていないと、早いタイミングで伸び悩むのではないかと考えられる。 また、伸び悩んでから対応すると、それまで身に着けた経験が無駄になってしまうのではないかと思う。 例えば、腕の力で前に飛ばす力を調整する経験を積んだことに関しては必要なくなってしまう。

教え方、声掛けの方法

次に、教え方について。

コーチが存在する練習における最も大きなメリットとしては、高水準なフィードバックが得られることだと考えている。

教えてもらいながらわかってきたが、卓球練習において相手コートに厳しいボールを打てるたことが必ずしもいいことではない。 正しい打ち方をできることや、練習効率を挙げられることの、プロセス重視が重要になってくる。 そのため、初級者や中級者同士で練習をすることは、正しいフィードバックを得ることが出来ないため、 ボールをコートに打ち返すことや、相手に返球されないボールを打つ、といった結果を重視してしまい長期的な成長の機会を減らしてしまう。

先生によって異なるのは、前章の「教える内容」の方でも書いた通り観点が異なることもそうだが、 学ぶスタイルに影響の大きいフィードバックの方法が全然違っている。

フィードバックでは、間隔、同時に指摘する観点の数が大きく異なっていた。

10分の練習で、1つの観点だけ注意してフィードバックするコーチもいれば、5つくらいの観点をフィードバックするコーチもいる。 また、タイミングも違っていて、後者ほど、短い間隔で指摘をする。 前者の場合、10分間の練習でも3回程度しかフィードバックしない。観点が1つだけなので気をつければそこまで失敗することもないし、 たまたまできなかっただけで意識をしていることが伝われば指摘をされないからである。 後者の場合、5球くらい打つたびにフィードバックが返ってくることもある。観点が多いだけに、同時にこなせないことも多い。 しかし、同じ時間内に多くの観点を教えてもらえる事ができるので、自主練に持ち帰れるものが多くなる。

こちらに対してどちらが良いかは、練習後にどうなっているかもそうだが、1ヶ月後2ヶ月後にどうなっているかも計測してどちらが良いかも測定したい。 また、個人の特性による差もあることから、どういった特徴のある受講者には、どういったフィードバックが良いかも計測して、スポーツ科学に活かしたい。(すでに、研究されてそうだが)

考察

自分の習っている卓球教室では、先生は教えるノウハウの共有を行っておらず、 先生個人の力量にある程度任されていることが分かる。

専門外の場合は、教えられる内容や観点が大きく異なってしまい品質が下がることを顧客に伝えるか、 先生同士で教える観点や必要な要素を共有して属人化を減らすようにすることで、 顧客の技術向上に効率的になるのではないかと思う。 また、教える観点の共有など行うことで、一部の厳選された選手経験者以外も講師として採用できるのではないかと思う。

自分がプログラミングが好きな理由に、フィードバックが早い事があった。 学ぶプロセスにおいて、フィードバックが早いことはとても効率が良かった。 しかし、それは頭で思考した結果に関してであり、卓球は体の感覚なので同じように早ければ、多ければいいかと言われると難しい。