教育心理学概論の紹介

概要

何度も、教育心理学概論の紹介をこちらのブログでも実施しているが、本全体についての紹介は特にしていなかった。 教育心理学概論のレビューを書く使命が回ってきたので、感想をこちらにまとめたいと思う。

内容

この本は、自分の人生に多大な影響を与えてくれた非常に大切な本である。最後にその思いを書いておく。

教育心理学概論はどんな本か

認知科学、学習科学の第一人者であるお二人の研究者の方が、認知科学を中心に各分野の研究を紹介しながら、人が賢くなる仕組みについて説明した本である。 全体の流れは、人の学ぶ仕組みを科学的に説明、子供の学習過程の実験を元に認知過程の変化を紹介、授業例とその裏にある科学的な仕組みの紹介、時代に対応して変わる教育の形態の紹介と今後の展望のようになっている。 特に、学習過程の中でも、相互作用についての研究を中心にされているため、そちらの観点を学ぶ際にも役に立つ。(6章、12章)

また、教育者、マネージャー、父母、学習者など、幅広い人に多くの学びをもたらしてくれるだと考えている。 「教えたはずのことができない理由」「教師が居なくても生徒が学ぶようになる仕組み」「必要なときに使えて発展し続ける学びの獲得方法」などなど、多くのことが得られた。 多くの研究内容を、短時間で流れとともに理解するのに適した書籍でもある。

思い

Amazonのレビューにもあるが、分かりやすいか分かりづらいかというと、初めて読む方からすると難しいであろう。 なにしろ、これまでの学びに関わる研究分野が多く紹介されているし、それぞれの論理展開はそれぞれの研究を理解しないと十分に理解しきれないかもしれない。 
私は、この本を1回で全てを理解できる本だとは思っていない。その分、何度読んでも多くの学びを得られる本だと思っている。

私は、この本はが、私の人生にとても大きな影響を何度も与えてくれたことに感謝している。 1つめは、自分の学生時代に考えて教師に提案していた勉強方法のあり方が誰からも受け入れられず悲しい思いをしていたが、こちらの本を読むことで初めて肯定されたと感じ、それを発展させていきたいとも感じた。この本に出会ってから、認知科学や学習科学の分野の専門書を読み研究を学ぶようになった。

2つめは、他の人ができないことを理解できない人間であったことを変えてくれた。リンダ問題を紹介しながら、どちらが正解などではなく考え方の枠組みが違うと教えてくれたからだ。自分は、リンダ問題を集合の問題として捉えられない人はダメだし、学んだことを正しく理解できない人はダメだと思っていたときもあった。しかし、この本は、そういった考え方をすべてとっぱらってくれたし、それが現場での仕事にも多いに役立った。

3つめは、学びの場の作り方が大きく変わった。人に教えることが好きで、講義形式の発表資料をいくつも作ることがあったし、そこでは正解を覚えてもらうことを求めていた。しかし、人は気づきを得て自分から得た学びの方が役に立てやすいことを知り、教える人からファシリテーターに変わることになった。

書ききれないので、この辺にしておく。

最後に、この本をきっかけとして多くの素敵な人々と出会えたことである。この本の素晴らしさを人から教えてもらい、皆で学び、次の学びの場を作っていくサイクルができた。