読書メモ 「自分を立て直す対話」を読んで 人や組織の抱える問題の仕組みと解決の方向性の部分をまとめ

概要

師から、薦められた書籍『自分を立て直す対話』を読んで大きく感銘を受けたので、その内容の一部を残す。 本書は、従来の問題解決のアプローチのように問題を解決するのではなく、問題でなくすことを目的としている。 そのために、人や組織の抱える問題の仕組みと解決の方向性と、その具体的な解決手段について紹介されている。 本記事では、人や組織の抱える問題の仕組みと解決の方向性の部分を紹介する。

内容

自分を立て直す

自分を立て直すために必要な2つは、自分の力で変えられることと変えられないことを見極めること、変えられることに自分の力を集中すること。

自分の悩みやもやもやを解決するために、著者は話を聞いている。 それは、コーチやカウンセリングよりも、インタビューに近い。

まず、建前で語り直す(ベキ論でもいいので現状を話す) 本音を吐き出す(それに対してどう思うか話、矛盾や葛藤を認めうr) 本心を見出す(背後にある本心を認める) 本気を形にする(今の自分に変えられることを見つける) の4ステップ

主語が、「私」になり、文末が「~したかった」に変わると本心である。

他者に自分のことを語り直すと、自分がどういう状況にあるか、自分で自分に気づく。

語り直すだけで簡単にできるわけではなく、厄介な現状をまずは位置しっかりと受け止める事、受容することが大切 具体的には、「実は自分も問題の一部だった」と自覚すること。 外部のコンサルタントか、新人社員でないかぎり、組織の問題は自分の問題でもある。 なので、組織の理不尽な問題を語り直すことで、組織の問題の中に自分の課題・テーマを見出す。

現状を認められると、不思議と今の自分のやるべきことも見えてくる。

組織の問題に関しては、問題をなくするよりも、問題でなくする方が良い。

一人ではなく、組織に話せる相手が居てお互いに話をできることが望ましい。

問題をほぐす対話

対話することで、最初に想定していた聞いて欲しいストーリーだけではなく、最初に言うつもりではないことを話せて整理できたりスッキリできる。 そういう対話に集中すると、「本当に言いたかったことを話せた」と達成感や満足感が得られる。 対話は、議論とは違って、テーマの背景や経緯を共有することができる。

語り直して、問題を再設定する。問題を解く前に、本人の気持ちを中心に語り直してもらう。 それをすることで、最初に語られなかった事実や経緯が語られる。 結果として、本人がやる気が出る、意味が見い出せる形にかわる。これが問題をほぐす行為。

問題を成り立たせている背景や前提は、問題の情報よりも「本人の気持ち」に隠れていることが多い。

会社の問題に悩んでいるとき、他人ごとの意識が強く、自分ごとの意識が低い。 やる気の出る形になるには、4つのパターンがある。 1つめ、自分ごとの意識が強くなって、解決策が変わる。「How(方法論)」が変わった。 2つめ、自分ごとの領域が増え会社の問題と重なる部分が出てきて、問題の再発見につながる。「What(本質論)」が変わった。 3つめ、自分ごとの意識が更に広がり、会社の問題を包み込み、目的の再発見になる。「Who(本人のありたい姿)」が変わった。 4つめ、表面的には変わらないが気持ちが楽になる、問題は変わらないが気持ちが変わる。

理不尽な問題が解決されるということは、意識が「組織の中の自分」から「自分の中の組織」となる。

感想

著者が「コーアクティブ・コーチング」や「ナラティブ・アプローチ」を元に話を展開しているため、CTIコーチングを受けたことのある自分には理解しやすいものであった。

対話やコーチングに関して理論的に説明があり、新しくコーチングや対話をする人には理解のし易いものではないかと思う。 コーチンバイブルも感情を重視する部分が目立つが、こちらの著書は、どう対話の相手と話をどう展開していくかといった話の進め方のHowの部分も多い。 理論的に考える方が得意なのであれば、こちらを読んでからコーチンバイブルを読むほうが良いであろう。

自分は、コーチングをする際によく問題解決の代行をしてしまうことも多かったが、 こちらを読んでステップを意識することでコーチングで相手に寄り添いやすいものが提供できるようになると思えた。

問題に対して、自分ごとになるように導く話があった。 これは、自分ごとにすることで解決の方向へ導くことから、「当事者意識」を持っていることを重視している会社では、特に親和性の高い方法ではないかと思う。