読書メモ 教育心理学概論 2章 「活動の認知過程 学ぶことと分かること」

概要

学習心理学を扱う、放送大学の教科書である教育心理学概論を読んだ。 学ぶこととは何かという、2章の内容について簡単にまとめる。

メモ

2章では、「心のなかで起こること」を指す「認知過程」を用いながら、学ぶことと分かることがどういったものなのかを説明している。人の心のなかでは様々な認知過程が起きていること、認知過程は人それぞれであること、認知過程は学びによって変わってくること、の3つの「分かり方」を確認していく。

教育を心理学的に考えるということは、学習者の認知過程を想定して内容を考える。 「10掛ける10」を聞いたときに、同じ問題だとしても人によって答え方が変わる。過去に同じ計算をして答えを覚えている状態、足し算をして答えを出す場合や、掛け算の表を覚えていたのかもしれないし、他にももっと認知過程が存在する。 ここから、さまざまな認知過程が起きていると言える。

学ぶと見え方が変わる仕組みの説明。 別の枠組みを持っていると、同じ問題も別の見え方になる。一般的に計算すると100の100倍は10000になる。 しかし、お金という枠組みで考える子供からすると、10000円はクリスマスにしか買ってもらえない特別な数字で、100円100個は日常的な数字なので同じだと納得ができなくなる。

枠組みに応じて見え方が異なるので、枠組みが違うと見え方が変わる。 枠組みを作り変えていくことが学ぶことになる。

有名なリンダ問題を教育心理学で考える場合、短い回答を選んだ人は集合の枠組みを元に考えた人で、長い回答を選んだ人はどんなひとか考える枠組みを元に考えた人だと解釈する。この問題から、人は1つの枠組みを採用すると他の枠組みを理解することは難しい。

先生が生徒の出来が悪いと思うとき、できが悪いのではなく、持ち込む枠組みが違っているのかもしれない。 先生の仕事は、自分が分かっていること自分の無意識に知っていることをわかりやすい枠組みだと考えて説明するのではなく、生徒がどのような枠組みが自然だと考えているかを探ることだろう。探るためには、答えではなく、答えに至る考え方を話してもらう。

感想

今回、表象の部分はまとめずに終わった。

過去に読んだときには、「学ぶこと」=「枠組みをアップデートすること」くらいにしか、こちらの章から理解をしていなかった。 枠組みとは何か、先生がどう理解するべきかを理解することができた。

14章でまとめた認知の三角形で、どう理解しているのか確認するために質問すると内容があったが、 それをしなくても数学のように途中式を書くようなテストにすれば解決するのではないかと思った。 社会に関してもアルマダ海戦が起きたのは何年か、説明しなさいといった問題にする。

昔は、数学でなぜ途中式がないと点数が貰えないのか、途中式があっていたら答えが違っていても点数をもらえるのか、理解できなかったときもあったが、教師の意図なども改めて理解できた。