「99.9%成功するしかけ キシリトールブームを生み出したすごいビジネスモデル」を読んで学んだこと

概要

マーケティングの勉強として、キシリトールブームを生み出した手法について勉強した。 マーケティング関係無く、これを知ることで会社で仕事をするときに役立つことも多い。 以前書いた、交渉する話も、この話と組合せることで大きな価値を生み出せる。 そのため、99.9%成功するしかけ キシリトールブームを生み出したすごいビジネスモデルマーケティングの観点から簡単に整理する。

マーケティングの方法の進化

筆者が行なったマーケティング手法の進化を時系列的に進む3つの事例を利用して説明があった。 時系列ごとに紹介する

販売相手の先までフォローする

1つめは、味の素時代に人工甘味料アステルパームを素材メーカーとして食品メーカーに販売していたときの話である。 一般的に、素材メーカーは食品メーカーに素材を販売するときに、新製品を作ってもらうために研究部門を相手に販売をする。 しかし、筆者が行なっ方法は、売りにいってそのまま相手任せにして進めるのではなく、研究部門が他の部門に説明しやすいようにフォローするものであった。 こうすることで、自分の販売先の人も、他の部門にメリットを説明できて自分の販売している素材を受け入れてもらいやすくなった。

しかし私は、そうした長年続いてきた他力本願の状況に甘んじることはできませんでした。 製品になるまでのプロセスに関与し、そこに貢献することはできるようになりましたが、原料を売ってしまったらそれで終わりではなく、その先のプロセスにも、もつと関与すべきだと考えるようになったのです

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ブームを作る

2つめは、素材メーカーとして食品メーカーにキシリトールを販売する前から販売時にかけての話である。 日本では、キシリトールが医療目的としては認可されているが、食品目的としては認可されていないことから、厚生省に認可してもらうところから話が始まっている。

そして、認可への手続を進めながら、PR(パブリックリレーション)を用いたプロモーションを行ないブームを作ることや、 各方面に対するメリットを伝えて多方面から依頼をしてもらうようにすること、権威と協力しあう話があった。 PRは、内容の精査をすることができないが、取材を受けることで無償でメディアに露出することができる。また、機能食品業界では、一般の広告よりもPRの方が効果が高い。 多方面からの依頼は、お菓子のバイヤーに話をして、キシリトール製品は価格が2割り増しになるので売り上げが増えるので、一緒にメーカーに頼んでもらう話があった。 権威と協力し合う話では、予防治療に熱心な歯科医と共に産学連携するものであった。産学連携のときには、相手に使命を意識させるとよい。

加えて、消費量を大きくするための工夫として、ライフスタイル化することが重要な説明もあった。 そのために食事の後にはキシリトールガムを噛むことを結びつけた説明があった。

そして、ブームはカテゴリに対して発生するので、1社の製品が勝ち残るとブームが無くなって全製品が売れなくなる話があった。 キシリトールが入ったガムが1社の製品しかない場合には、単一製品を取り上げることになり、公益性が無くなるため取材が無くなってしまうそうである。

顧客が必要だと思うストーリーを考える

3つめは、素材メーカーとして食品メーカーに食物繊維を販売する前から販売時にかけての話。 最初は、食物繊維のメリットとして便秘解消を押し出したが、効果が無かった。 しかし、ダイエットやサプリメントの効果が出ないことを全面に押し出すことで、顧客の心を掴むことができた。 研究をしてデータを集めて、それに対してプロモーションしても売れないのであれば、ストーリーや戦略のどこかが間違えている。

食物繊維の低迷の背景には、食物繊維を手掛けていた当社の歴代担当者などの関係者に、ある種の思い込みがあったということが挙げられます。さまざまな消費者調査の結果から、食物繊維は便秘解消目的で摂取するものだと考えて、便秘解消効果について研究を進め、データを集め、それに基づいてプロモーションをしていたのです。 それで売れないのであれば、その「ストーリー」や戦略のどこかが誤っていると考えて然るべき

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あとがき

エバンジェリストなど、技術を広める人達は、これらを学ぶことで効果的にアジャイルやDevOpsを組織に導入できるのではないか。 それぞれのメソッドを試してみてほしい。