読書メモ 教育心理学概論 14章 学びと評価を近づける
概要
学習心理学を扱う、放送大学の教科書である教育心理学概論を読んだ。 評価について触れている14章に感銘を受けたので、内容について簡単にまとめる。
紹介
テストの結果と理解度の一致について
14章は、学びの評価について紹介している。最初にペルグリーノ氏の研究について紹介されている。 歴史上の出来事に関するテストの理解度についてのものである。 教員の質問する「アルマダの海戦は何年ですか。」について、Aさんは「1588 年です。」と正解を答え、Bさんは「1590 年前後です。」と惜しい答えをする。 ここからだけでは、どちらがよく理解していないが、なぜそう答えるのか訪ねてみると、Aさんは、「歴史の年号だから話すことは殆ど無い」と答え、Bさんは民族が落ち着き始めた時期、遠征、他の国の支配、などをから推測して、1590年前後と答えていた。
ペルグリーノ氏は、Bの方が理解ができているのにAの方が点数が高くなるのが問題だと話し、理解を正しく評価する方法として評価の三角形を紹介している。 「なになにが起きたのはいつですか」といった聞き方のテストでは、先生にとっても生徒にとっても何の役にも立たないので、結果だけではなく学習プロセスに内在する理解を評価すべきだとのことである。
評価の三角形は、認知、観察、解釈から構成される。 認知では、子供が教えていることについてどう理解しているかを了解する。 観察では、課題をやってもらい認知過程で起きていることのデータを集める。 解釈では、観察の結果から得たデータから、頭の中でどんな認知過程が起きているのか推測する。 この3つの使って評価することを推奨している。
21世紀型スキル
もう一つ、21世紀型スキルについて紹介があった。 21世紀型スキルは、2008 年に、Cisco、 Intel、Microsoftが先導して、これからの知識産業社会に必要なスキルを同定したものである。 教育方法を国際的な協力体制で開発しようとしている。
21世紀型スキルは、以下で構成されている
- 考え方
- 創造性
- 批判的思考
- 問題解決
- 意思決定
- 学習
- 働き方
- コミュニケーション
- 協調
- 仕事のための道具
- ICT
- 情報リテラシー
- 生きるためのスキル
- 良い市民であること
- 生活と職業
- 個人的・社会的責任のとり方
感想
評価に関しては、自分が丸暗記が苦手だったし、やる気も起きなかったことから、非常に共感することができた。 テストの採点にコストが非常に大きくなるのは、理解しているが、もっと認知過程を理解した評価が主流になってほしいと思う。
21世紀型スキルに関しては、今の学校教育で求められている教科を学ぶこと自体ではなく、もっとメタなスキルを学ぶことが大切だと考えていたので、非常に共感できる。とくに、自分は、21世紀型スキルを身につけてもらうことを目的にしているのかもしれないと思えた。