スタートアップの理論と議論に参加しました(前半:意思決定、アイデア、企業文化)

概要

9月28日~10月2日までの5日間に開催された、馬田さん「スタートアップの理論と議論」に参加しました。 資料のほとんどは飛していて、重要な所に注力しての説明だったため、主張したい部分が明確でした。 まとめていると長くなってしまったので、前半3日分と後半2日分に分けてまとめます。 話を聞いたサマリーと重要だと思ったことを簡単に記録します。 (資料に無く口頭でしか話しをしていないものは積極的に記録に残す方針)

内容

意思決定

スタートアップは行動しない

スタートアップは、シリーズAに生けるかどうかは1年以内に成果を出さないといけない。 最初のフェーズでは、ネットワーキングイベントに行くくらいなら、ユーザの声を聞け。 やっていいのは5つだけ。「プロダクトを作る」「顧客と話す」「適度な運動」「食事」「睡眠」

問題に取り組むときには、7つの習慣の緊急度と重要度の評価軸の評判が良い。

「テレビを見る」などの時間は罪悪感があるので、簡単にやめられるけど、 偽の仕事は罪悪感が無いから優先順位付けを気をつける。 今のメトリスクに合致しないものは、偽の仕事だと思ってもいい。

定期的な予定を入れておいて想像的なものに使う時間を決めておいた方が良い。

時間の使い方は重要度順に使えていないので、一度計測してみても良い。 一番大切なことに40%の時間を使うようにしましょう。

ゆとりを作ることが大切。ゆとりを作っておくことでスケジュールを作り直すのが楽になる。

仕事が編集的な仕事なのか、執筆的な仕事なのかを意識する。

Sam Altman「成長している段階で人はやめない。成長が止った段階で人が離れます」

平均7%グロースしなさい。そうでないなら何かおかしいから見直せ。

やはり俺のスタートアップの意思決定はまちがっている。

創造的な仕事をする人でもプロセスを使っているので、意思決定のプロセスを持つとよい。

スタートアップの意思決定は半直感的なので、アクセラレータ(1回目のスタートアップ)が必要。 相談相手をそれぞれのステージに合った人を持つ。 業界に詳しい人にも話を聞いてみること。エクイティは払い過ぎだけど、3〜5万くらい払って聞いてもいいと思う。 メンターのネットワークも使うと良い。ネットワークを作るのも2つあって、行動をかえるときは強いネットワーク、 情報を得るときには弱いネットワークを利用する。

認知心理学的には、フレームを意識するのが大切。違う表現をしてロジックが印象に左右されないようにする。

馬田さんの資料は、良い意思決定をするための資料ではなくて、悪い意思決定をしないための資料と捉えて読むのが良い。

ネガティブな意見をできるだけ得て、事前検死(将来の失敗要因を上げて対策)するのがよい。

意思決定のプロセスは3つ4つ以上持つべき。しかし、持ちすぎると煩雑になり意思決定の速度が下がる。

スタンフォードの心理学の享受が書いたDecisiveが良い http://www.amazon.co.jp/dp/B009JU6UPG

仮説検証

あなたのスタートアップのアイデアの育てかた

良いスタートアップのアイデアは必然的に狂ってなければならない。

あなたの起業はどちらのビジネスか。 ビジネスには、スタートアップとスモールビジネスがあって、話をするのはスタートアップの話です。 この資料は、リファレンスとして使うのが良い。

タイミングが一番大切。Youtubeも似たようなサービスが2、3年前にあったが、 成功しなかった。テクノロジーの進歩によってエンジニア側とユーザ側の環境が大きく影響する。 技術者は新しいテクノロジーに早く気づくことができる。解決できる問題に関して、敏感性が無い。 しかし、どういう問題を解決できるかが足りない。技術者は問題を見るようにしたら良いのではないか。

スタートアップにかかわる人として投資家がいる。 投資家に対する良いスタートアップは、100倍以上の利益を出してくれるスタートアップ。 上場したときに一気に利益になるような会社なので、狙っているのはホームランどころの話ではない。 実際、Facebook(一位の会社)からのリターンだけで、他の会社からのリターンを全て足し合わせた以上のリターンが得られている。 ファランティア(二位の会社)からのリターンは、三番目以下のリターンを足し合わせたよりも大きなリターンを得られている。 USの投資家は、100倍、1000倍を狙ってくる。

オススメの理論は「イノベージョンのジレンマ」。大企業がなぜ破壊的イノベーションを起せないのか考えるべき。 大企業は、合理的に考えていえるんだから、スタートアップは不合理的に考えて戦うべき。 Facebookは最初は大学生向けのSNSで市場性も少ないし、上手くいくように思えない。 そんな狂ったアイデアが良い

ストライプは決済系で多くの会社の調整をしないとうまくいかなかった大変な所を頑張って成功した。 ブルーオーシャン戦略で新しい版で「新しい市場を」といってて、ピーターティールは一歩先で、「それを独占せよ」と言ってる。

もともと、ミッションが好きじゃなかったけど、スタートアップを見ていると大切だと思いはじめてきた。

スタートアップのアイデアは、10年間を使っても良いと思えるアイデアにした方が人生に良い。 失敗するかどうか3年でわかる、2年で片付けをするので失敗しても5年くらい。IPOなら10年くらい使う。

スタートアップゲノムレポートによると1人だと2人にくらべて3.6倍かかる。 なので、良いチームを作るには、若いうちに創業した方が良い。若い方が見付けやすい。 大学時代、大学院時代くらいに見つけておく方が良い。大学時代の知り合いが職場の同僚が良い。

Twitter,Facebookは1月のテスト期間中にいやになって、プロジェクトを進めていって上手くいったら起業した。 上手くいったら起業するくらいでいいのではないか。ツイッターの人は4人でいっしょにやってた。起業したのは協同創業者が凄く良かったから、起業した。 自分の欲しいものを作る。自分に課題があるものを作るのが良い。

賢い人達がやっていることを観察してやれ。Geekを観察して、何をやっているかを見るのがアイデアを思いつくコツ。

未来に生き、欠けているものを作れ。仮に失敗したとしても、好きなことを。

スタートアップは「考え出す」ではなく「気づく」である

スタートアップを始める前に

人生を逆算する:みなさん45くらいになると介護に時間が必要でチャレンジできるタイミングも少ない。 日本は労働法上、中高年を守るルールになっていないので中高年だとすぐに首を切られる。 チャレンジするリスクを取れなくなってくる。

スタートアップを始めるべきでない理由は、「トップの頭脳を持つ人がスタートアップで苦しんでいること」「USの楽観的な人でもメンタルを壊す」。 USでも30%が鬱になる。スタートアップ以外の人は平均7%なのに。 自分のメンタルの前に家族のメンタルが壊れて就職した例も聞くので気をつけましょう。

お金を求めて数千万や数億を稼ぐならいいところに行くのが良い。外資系金融か、成長しているスタートアップに行く方がよほど良い。 Facebookの株1%で20億円。Facebookに数百番目で5,6億で引退している。

プロダクトを作りたい、多くの人を作りたいなら大企業へ。

創業者は「プロダクトを作る」から「会社を作る」ようになる。 会社にするところで苦労している例も良く見る。

結論から言うと、「やりたいことがある」「スタートアップでしかできない」「タイミングが最適」が揃ったときやる。

イーロンマスクの自伝が翻訳されたので、どうぞ。イーロンマスクと働くのちょうつらい、けど良いミッションは頭の良い人があつまってくる。

ポールグレアムはハーバードの授業で、「やらずにはいられないからやるんだ」といっていた。 スタートアップは合理的に考えたらやれない。

合理的な人生もつまらない場合もあるので、こういう感じで決めていってもいいんじゃないかな

ポールグレアムも「お金を欲しいとおもったら、スタートアップをやる。疲れるから絶対やらないからね。」

別の収入源がある人はリスクが低いので、起業に挑戦しやすい。といっても、スキルでリスク下げることもできる。 外資系の金融系の会社にいたひとなら、数年くらいなら平気ではないか。

最適な方法を考えるなら、登山法で低い山に対してがんばらないで良いように、 最適化アルゴリズム焼きなまし法を使う。

同じVCに通い続けて10年後に投資する場合もある。 起業するならサイドプロジェクトがオススメ。協同創業者をもみつかるし、自分のやる気を確認できる。

後は、コミュニティへ貢献する活動も良いと思う。トレジャーデータはコミュニティで困っていることを解決した。 コミュニティに参加することで、参加者の問題に気づける(聞くのではない)。

メンタルが壊れるのを防ぐのは成功なので、小さくてもいいから成功するとよい。

リーンスタートアップにおける良い仮説、悪い仮説

貴重な時間を無駄にしないために、リーンスタートアップしましょう。

最初の1年間、たった52週しかない中で、がんばり方を間違えないために。 スタートアップは1晩で成功します。それまで生き伸びましょう。 リスクの高い順に検証しましょう。

VCは起業家よりも顧客の知識はない。VCの方が詳しかったら問題だけど。

検証のためのMVPの設計も細分化すること。DoorDashの人は、GoogleDocsを使って検証していた。 最初は何も自動化しないでやるとよい。

悪い仮説検証の特徴としては、仮説が積み重なったものが上げられる。 犬のSNSを作るとして、犬の情報が欲しいか、犬のSNSが人々に知られるか、などなど。 1つずつ検証していきましょう。

あとは、既存の方法を"ハック"するとよい。

Dropboxはスタバのコーヒーをおごるから使ってみてもらえないか、など他の人が思いつかないことをやる。 スタートアップには、レピュテーションリスクもないし、どんどんハックしよう。

企業文化

企業文化をぶち壊すな

このスタイドは経験談ではないが、本を多く読んでいるので一般化できていると思う。

起業文化を大切にしているスタートアップはどれくらいありますか。最初に考えておいた方が良いのではないかと思う。

大抵は、採用に失敗したら気をつけるようになる。ウォンテッドリーはカルチャーランチをやっているよね。 Airbnbはピーターティールに言われた「企業文化をぶち壊すな」

企業文化は一種の宗教なので、一致団結はするが新しいイニシエーションはしずらくなる。

Jessica 「初期から文化を考えているところは強い。」 Y Combinaterは多くのスタートアップを見ていて一番傾向を見えるので、理論に一番近い。

採用と雇用の維持に影響する。 文化に合っていると長く働いてくれ、チームワークのきっかけになる。 ツールも使おうとしても使える文化になっていないと使えない。 HowGoogleWorksは1章に文化を持ってきていて、それだけ文化は大切だと思う。

頑張ってベンチャーを立ち上げたけど、自分の働きたい会社ではなくなってしまったため、会社を作り直した例もある。 自分にとって働きやすい会社になるようにしないといけない。 10%以下のリーダしか文化作りには成功していない。

起業文化は建造物ではなく庭なので、常に手入れをしていく必要がある。

採用された人は自分に似た人を採用するようになる。

SamAltmanは、文化には力を入れる価値があるといっている。 カルチャーがあると、意思決定を助ける。制度がなくても自立的に動けるようになる。

Googleは文化を大切にしていて、HRTの文化を押し出している。Incrementsでも大切にされている。 Googleは情報をオープンにする文化なので、中国からは撤退する判断もできた。

Airbnbは1000人紙で確認したら100人面接して1人採用する。 文化を気にせずに採用すると後からどんどんやめていくので、 文化を重視して採用する方がトータルコストは良いのではないか。

IDEOはみんながみんなに相談する文化にしている。 特殊な文化を作っている会社には、特殊な人が集まってくる。

企業のミッションにいかに紐付いた文化かということが大切。

バリューを決めるためにザッポスは1年かけた。37列挙し10個にしぼった。 ザッポスは30人の段階でバリューを決めていたけど、遅すぎた言っていた。

マッキンゼーもミッションには力を入れている。 人に対して投資をしてるので、人事制度が凄い。 人事への力の入れ方はGoogle以上。

日本の企業の力の入れ方は、イノベーティブな会社とは違う。 日本の会社は自立的で課長や部長が判断して進めている。しかし、トップの判断が下まで下りてこない。

文化を決めるときには、明文化してフィードバックを貰うとよい。 自分ができていないことだと指摘を受けるから。

制度にするのかナッジなのかが大切。 コミュニケーションを良くする方法としても2つのアプローチがあり、 「2mで挨拶をするルール」や「ウォーターサーバを設置してコミュニケーションを促す」のか。

興奮度か頻度の指標も考える。 キリスト教の儀式などは、興奮度が低いが頻度は多い。

儀式は何の役に立つか―ゲーム理論のレッスン」という儀式の合理性をゲーム理論的に解析している本もある。

共通認識を持っていて、みんなが共通認識を持っているということをみんなが知っていることが大切。

facebookでは、入社した日にリリースすることで皆に使われるものを作っていることを意識付ける。 YCでは、みんなで森に行って、どんなことをしたいのか。どんな組織にしたいのかを話する。

日々の報告など、良かったことを報告しあうと、良い。 プラクティスは習慣にし、ちょっとずつ導入する。

最後にガンジーの言葉を紹介。「あなたの信念はあなたの思想となり...(略)

チームワーク、努力、勝利 / スタートアップのチームワークとコミュニケーション

実はてんさい達もチームで成果を出していた。 エジソンは実はチームで成果を出していた。天才とチームが世の中を変えてきた。 株式のアナリストは、転職先でもスキルやナレッジは活かせるはずなのに、 1人ではパフォーマンスが下るけど、チームだとあまり下がらない。

Pixarって200人もの人で作っているのに、ほとんどはずれのない。大くのプロセスを使っている。 日本は宮崎駿みたいな1人の天才のおかげで成果を出しているが、そこがボトルネックになっている。 日本は個人主義になっている。テストは1人。評価は個人。USはチームで評価される。日本だと特にチーミングを教えてくれない。

XPのケントベックもチームの大切さについて本に書いている。

組織体系は、スタートアップ的には、ホラクラシーが良いようだけど、合う合わないもあるので気をつけて使う。 ザッポスもホラクラシーにしたのでけっこうな人がやめました。3年後には結果が出てくるのではないか。

階層化組織が良い場合もある。災害が起きたときは、現場で判断でした方が良いしかし、しばらくした後は階層型の組織が良い。 環境があまり変わらない場合には階層化し、変化が多い場合は階層化しない。 フリーランスだと言われたことしかしない人が多い。そういう場合はコマンダーがいる階層が良い。

タスクの複雑さや種類に合わせたチームサイズの選択が必要になる。 ソフトウェアは8人。コンサルチームだと3、4人チーム。 複雑になると、同期が大変なのでチームを小さくした方が良い。

日本だと、そもそも良いチームになろうとしてない場合も多い。 意欲を持って働いている人が日本だと7%、中国6% 日本人は勤勉だけど、仕事に対する思いが弱い。

そもそも、50%以上が仕事にエンゲージしておらず、20%は意識的にエンゲージしていない。 連帯感があっても競争が無ければ、みんなでサボろうぜってなる。競争が必要。

日本人は、衝突と説明責任が不得意。譲歩や妥協でコンフリクトを起さないようにしてしまう。

夫婦についてもコンフリクトを起した方が良い。不満を貯め込むと限界に来て離婚になってしまう。 なので、いかにコンフリクトを出していくかが大切。

説明責任を追求するのは難しい。USのリーダは、きらわれるかもしれないけど、 きつく攻めていく。そうでないと成果が出ないので。

しかし、あいまいな目標に説明責任は持たせられない。なので良い目標を立てる。

5つの要素「チーム構成」「リーダーシップ」「プロセス」「チームプレイ」 「チーム外との協働」が大切。 チームの構成のために、ゴールを決めましょうね。リーダーシップを全員が持つべき。

なんでこのチームが居るのか分からないとパフォーマンスが出ないし、育成もできない。 リーンやTOCの文脈をチームに適応すればいいのではないか。重要な仕事以外を優秀な人にさせないか。

ドラッカー「人間関係に1割以上とられていたら良くないよね。」

チームにも文化、コミュニケーション、規則が大切。 コミュニケーションをどうやっていくか。コミュニケーションについては、文化しだい。 人は6時間以上人とコミュニケーション(メール、対話含め)をすると幸福度が上がる。

タスクの複雑性などに応じて向いているプロセスを使う。探索的なものはリーンスタートアップ

何を固定にして何を可変にしているかを考えて方法論を捉える。 ウォーターフォールはスコープを固定にしていて他のものを不変にしているなど。

チームワークは難しいので、良いチームは大きなアドバンテージを得られる。

まとめ

前半3日間を受講した。 自分が事前予習として簡単にサマリーを作っていたが、発表中に細かく説明されるものとは異なっていた。 馬田さんが詳細に説明したのは、細かい方法ではなく考え方の部分であった。 全部を読み直すのは時間がかかるので、自分用に要約を作っておきたい。 しかし、定期的に読むべき素晴しい資料だと思う。