内発的動機づけと自律的動機づけ 第一部まとめ

速水 敏彦先生の内発的動機づけと自律的動機づけ: 教育心理学の神話を問い直すを読んだので、サマリと自分の考えを簡単に残す。

1章 学習動機づけを考える

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内発的動機づけを大事にしましょうって教育が始まったけど、学習成果が一気に向上したわけでもないし、学習意欲が一気に向上したわけでもないよね。それどころか、日本の学習意欲は長期的に低下しているよね。(p4)

内発的動機づけは目的的活動で、外発的動機づけは手段的活動。 勉強すること自体が楽しくてやっていたら、内発的動機づけだけど、受験に工学するrためにやっていたり、褒めてもらいたくてやっているなら外発的動機づけ。(p8)

外発的動機づけが、アンダーマイニングを生むというけど、それは他者にコントロースされているという感覚に注目するから。賞や商品を得ることで有能感が高まることもある。(p8)

だとすると、やっぱり、賞は後からあげるのがよくって、賞で釣らないほうがいいのではないか。

センソリーの2014年の研究では、内発的動機づけがパフォーマンスに(.21~.45)ほどの相関あるので、内発的動機づけから結果を予想できる。その場合、賞や昇進などの誘引が内発的動機づけに伴っていても影響は少ない。(p9) 誘引が明確で直接的にパフォーマンスに影響するときは、内発的動機づけはパフォーマンスに重要ではない。誘引が不明確で間接的にパフォーマンスに影響するときは、内発的動機づけはパフォーマンスに重要な影響を与える。(p10)

内発的動機づけは、パフォーマンスの質に影響を与えて、外発的動機づけはパフォーマンスの量に影響を与える。(p10)

お絵かき実験でメダルを与える場合も、絵を描くのに質を減らしてたくさん描くようになった子がせつめいされているが、それではなかろうか。

学校教育だと、自由記述内容の質は内発的動機づけで予測でき、計算問題の数は誘引で予測できる。(p10)

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藤井聡太棋士の育て方が話題になったが、お母さんは好きなことに打ち込んでいるのを見守っただけだとしている。とはいえ、中学生の男子は、そんな何かに打ち込むことは少なくて、漫画やスマホばかりになるのではないか。 小中高時代に内発的動機づけが働くのは特殊な場合ではないか。大人の職場でも、自分で選択した好きなことだけやるのは難しい。(p13)

子供には勉強の楽しさを知ってもらいたい、社員には仕事の楽しさを。やらなければならないことを、楽しんでやれと言っているのではないか。だから、好きになってくれるように仕向ける、と。(P16)

動機づけには、物事を始めさせることと、行動を持続させる力がある。知的好奇心では、開始させる力が強いのではないか。面白そうとか不思議だという気持ちは一時的で消滅しやすい。動機づけは、目標に到達するまでに持続する力のようなものなので、目標に到達するまで行動を持続させる必要がある。これを努力というのではないか。(p17)

内発的動機づけは、行動の開始に起爆剤のような働きをするが、環境の変化で失われたり、慣れが生じたりする。(p17)

2011年の研究では、内発的動機づけの高さでは、学業成績の高さを予測できなかった。学業達成の間には弱い相関しかない。これは、ペーパーテストで、記憶力と理解職を測っているからかもしれない。(p19)

動機づけは時系列的に変化するし、同時に複数を発揮する場合もある。授業を始めますよと先生がいって授業を始めるのは、外発的動機づけだけど、授業を始めてみたら面白くなってきたら、内発的動機づけで、分かった人から答えてください競争ですよ、と声をかけるとまた外発的動機づけになる。(p19~21)

2章 自己決定理論の光と闇

自己決定理論の各動機づけをまとめて表現するRAI(relative autonomy index)指標がある。統合的動機づけは、尺度化が難しいので入っていない。(p32)

有機的統合理論は、応用分野として、人間関係、宗教への進行、愛他的行動、レジャー・趣味、反社会的行動の動機詰めまで適応できることを示唆した研究もあるし、学校と学習、職場での動機づけ、スポーツとエクササイズ、ヘルスケアと心理療法、宗教、バーチャル世界、などなど多くの分野に使われる。(p34)

擬似内発的動機づけとして、他者から表層的な面白そうなことを与えられるものを分類する。内発的動機づけは、本人の中に内面化されるもの。擬似内発的動機づけは、他律的で受け身に感じることがある。(p35)

例として、教師が面白い授業を作ることが示されているが、ビデオゲームアミューズメント施設などのおもしろさも、他律的な内発的動機づけに当たるのではないか。

大人が一方的に働きかけるのではなく、本人の自律性の支援をすることが大事。これは、自己決定rの理論では、「自律性への欲求」(p39)

自己調整学習とは、他者から言われること無く自ら持続的に学ぶことが重視される。段階として「予見」「遂行」「自己焼殺」 の段階で「動機づけ」「学習方略」「メタ認知」に関わって適切に自己調整していくことが必要。ただ面白いではなく、自ら重要と思ったものを粘り強く学ぶ。好奇心だけではなく、社会的に必要だと思うものを自ら重要だと認知して自らを動機付けていく(p44)

動機づけの自己調整方略は、快感情を伴い状況というより、快でな状況のなかでやり遂げたいという気持ちのときに最も駆使される。(p45)

自律的であることは、内生的な考えにより活動することを意味する。自分で責任を持つ自己承認しうる活動。(自律性を身に着けるには、外部あるいは他者からの情報を受け入れ、自分なりに取り込み、自ら使っていく。p45)

著者は、内発的動機づけを有機的統合理論の最も自律的なものとして分類されていることに疑問をもっている。楽しいからやるという内発的動機づけは、はたして必要だからやるという気持ちである同一化的調整よりも、自律的だと言えるのだろうか。