どうして人はものを買うのか ~顧客満足編~

消費者行動論を読んで消費者行動の基本プロセスが面白かったのでまとめる。

どんなマーケティングをやったらいいのか判断するために、人の購買メカニズムを知りたかったため、 消費者行動について勉強しました。

今回は、プロセスの中の購買後行動の中の満足/不満についてまとめます。 すべてのプロセスの列挙は以下。

  • 購買前行動

    • 問題認識
    • 情報探索
  • 購買行動

    • 購買意思決定
  • 購買後行動


    • 評価
    • 満足/不満

満足/不満

満足、不満を考えるときは、以下の2つの期待一致モデルと平衡モデルを用いる。 
期待一致モデルは、購入前の期待と、勝った後の結果が期待を上回るかどうかで判断する。

平衡モデルは、売り手と消費者が同じくらい労力に対する利益を得られているかで判断する。

また、満足、不満に影響する要因として、原因帰属と認知的不協和も説明する。

原因帰属とは、商品が良くないときにどんなどこに問題があったか考える理論で、自分に問題があったと考えれば商品への不満が生まれづらいというものである。

認知的不協和は、すでに買ったものは高く評価しがちであることや、苦労して手に入れたものは良いものだと考える傾向にあるというものである。

期待一致モデル

消費者は、購入前に予め期待を持っている。 商品を使うことで得られた結果が期待を上回れば満足、下回ると不満になる。 商品が優れていれば優れているほど満足するわけではない。

例えば、美味しいケーキを買う前に、「美味しいから食べてみなよ」と言われるか、 「ここのケーキは日本一のケーキだから、絶対に食べてみて」と言われるかで、同じケーキでも満足度がことなるということである。

後者の日本一のケーキだと言われて食べに行く方が、事前にハードルを上げすぎた状況になってしまうので、 同じケーキでも満足度を得づらくなってしまう。

これを、逆に使うと、期待してなかったけどいいことが起こったら嬉しいというサプライズ的なものであろう。「沢山買ってくれたから、おまけしときますね」というコミュニケーションもこれに当たるだろう。

衡平モデル

衡平は、経済学の用語で釣り合いが取れていることを表す。 公平は完全に同じでないといけないが、衡平はお互いが納得しているならそれでよいという考え方らしい。

そこで、消費者心理では、何の釣り合いが取れるようにするかというと、 かけた労力や時間やお金に対する利益が恩恵である。 これを消費者と売り手の間で釣り合いがとれるようになる必要がある。

消費者は、かけた労力の割に利益が少なく、売り手は大きな利益を得られていると感じると、不満を生むということ。

例えば、大企業のアプリ評価などをみると、「沢山稼いでいるんだからもっと値下げをしたらどうですか」というようなコメントを付けているユーザを見かけるが、こういうことを指すのだろう。

原因の帰属モデル

消費者が商品を購入して発生する怒りや後悔が、必ずしも製造者や販売者への不満に必ずしもつながるわけではない。それは失敗の原因がどこに帰属するかという問題があるからである。

原因帰属は、原因の所在、統制可能性、安定性の3つの要素からなる。 原因の所在は、原因が内的なのか外的なのか。 統制可能性は、消費者が損失を回避することができるのか。 安定性は、一時的なものなのか永続的なものなのか。

製造者が統制可能な場合に苦情をいいやすい。原因が永続的であればその商品を継続して購入することは少なくなる。

会社員向け学習教材を例にして8パターンについて簡単に説明する。

  • 消費者原因
    • 統制可能
      • 一時的:その日は仕事で疲れていたので勉強するのをあきらめた。
      • 永続的:やる気がでない教材だったので勉強しなかった
  • 消費者原因
    • 統制不可能
      • 一時的:その日は残業で遅かったので勉強する時間を確保できなかった。
      • 永続的:持っていないパソコンを使わないとできない教材であった。
  • 製造者原因
    • 統制可能
      • 一時的:担当者が足りていない教材を入れずに顧客に発送した。
      • 永続的:品薄の教材があったので、その教材は入れずに顧客に発送し続けた。
  • 製造者原因
    • 統制不可能
      • 一時的:輸送中の事故により教材の機材が破損していた。
      • 永続的:販売者が騙されて効果のない教材を採用していた。

認知的不協和

商品を買った後に情報の整合性を見出せないと認知的不協和と呼ばれる心理的緊張が高い状態になる。

購入した商品の欠点を見つけたり、選ばなかった選択肢の長所を見つける。

認知的不協和が起こると、どんな行動をとるか。すでに買ったものの長所や、買わなかったものの短所を探す。 買った事実は変えられないので、認知を変える。

実験では、価格の近い商品いくつかを評価してもらった後に、選んだものをプレゼントして、再度評価してもらう。すると、選んだものの評価は高くなる。

購入前と購入後では、購入後の方が商品に対する評価が高くなる。

例えば、デジカメを購入したら、後から自分が希望していた性能に近いものが後から見つかった。 このときに、そのときには考えていなかったが自分の購入したデジカメの方がバッテリーの持ち時間が長かったら、「バッテリーが長持ちする方が少々性能が良いよりも大事だよね」というすでに買ったものが比較的性能が高い部分を見つけて失敗しなかったと考えるような作用である。

長時間並んで手に入れた商品や、苦労して手に入れたチケットでは、結果として満足度が高くなりやすい。 あれだけ苦労して手に入れたものが悪いものなわけがないと考える。

ここから考えると、品薄戦略と言われるような機会損失にもなりかねない事態も、実は良い結果を生むことがわかるだろう。 何ヶ月も待ってやっと入れた寿司屋、品薄で手に入らなかったWiiクラウドファウンディングで早くから支援して手に入れたサービスなど。

参考文献

おまけ

その他、消費関係で参考にしている本