フロー理論の理解を深めるために考えたことと思い浮かんだ問い

概要

フロー理論について学んだので、そこから生まれた簡単な説明と問について残す。 もし、よければ問について批判的に考えてもらえると、よりフローの理解が進むのではないだろうか。 f:id:sanryuu:20170522090349p:plain

フローの紹介

フローを簡単に説明すると、自己の没入感覚を伴う楽しい経験で、能力や技能を成長させる。

もう少し説明すると、普段の自分たちの注意は、何かに取り組むときに行為者である自分自身にも向けられている。しかし、フロー状態では、自分に対して向けられている注意のほとんど全てが取り組む活動に向けられる。その結果、行為と意識の融合感覚が生まれる。

フロー状態の特徴

  • その瞬間に居ていることへの強い焦点の絞られた集中
  • 行為と意識の融合
  • 内省的自覚(つまり、社会的行為者としての意識)の喪失
  • 自分の行為を統制できるという感覚(つまり、次になにが起ころうともそれへの対処の方法が分かっているので、その状況に原則的に対応できるよ言う感覚)
  • 時間の経験のゆがみ(特に時間が実際より早く過ぎるように感じること)
  • 活動を行う経験自体が内発的な報酬となるので、活動の最終目標がしばしばその活動を行うことの単なる理由付けとなる

モティベーションをまなぶ12の理論(鹿毛)

フロー状態の生起条件

  • 活動の難しさのレベル(挑戦のレベル)とその活動に取り組むための行為者の能力レベルが高次でつきあっていること
  • 活動の瞬間瞬間も目標が明確でありフィードバックが即座に得られること

モティベーションをまなぶ12の理論(鹿毛)

議論したこと

本を読んで気づいたことや、新たに生まれた問いについて残す。

問い:複雑な判断をするときには、フローが必ずしも適しているわけではないのではないか。 フローは、視野を狭めて、情報を遮断して成果を出すがゆえに幅広い情報が必要なときに向いていないと考えた。 ものづくりなど、作るものが決まってからは良いと思うが、作るものを決めるまでの過程には向いていなさそうである。 集中している事象の外側に程度不確実性がある場合に、考慮しづらくなってしまうのではないか。

フローで題材として画家が挙げられていることから、フローで言われているフィードバックとは、自分自身の評価でも良いだろう。

自分の意識から自分への注意を低下させるためには、自分自身の体を見ることがない状態の方が難易度が低いであろう。 具体的には、パソコンで作業をするときに、キーボードを操作する、ペンタブで作業をする方が、 しかしこれは、操作に対して熟達していて操作を意識せずに行えることが前提となる。

フローは、発生しやすくするよりも阻害要因を考えがちである。しかし、訓練によって、生起条件をみたす状態を発生しやすくすることが可能なのではないか。フロー状態への遷移の失敗は、外部要因だけではなく能力不足もあげられると考えた。

参考