「他者と一緒に考えて理解が進む」建設的相互作用について調べてみた

概要

三宅なほみ先生の著書を勉強しているときに、なほみ先生の提唱した建設的相互作用(constructive interaction)が何度も紹介されている。 「他者と一緒に考えて理解が進む」を考えるとなんとなくは理解できるが、理解が難しかった。 そのため、自分が理解するために利用した情報と、理解の方法を紹介しておく。

内容

建設的相互作用は、三宅なほみ先生が1986年にこちらの論文(Constructive Interaction and the Iterative Process of Understanding - Miyake - 1986 - Cognitive Science - Wiley Online Library)で提唱された「他者と一緒に考えて理解が進む」仕組みについて説明した理論である。

三宅先生の書籍、「協調学習とは」と、CoREFのサイトの報告書の情報を利用させて頂いている。

交代に話しながら自分のアイデアを良くしようとしていると、お互いの頭の中で知識が結びついて新しいアイデアにつながる。 それは、相手に伝わるように、お互いが自分のアイデアを抽象化しながら学ぶことができる。

2人で解いている場面を詳しく見てみると、各自が相手の言うことを聞いて理解しようとしている間に問題を見直し、自分の視野を広げ、その視野を広げた中から「抽象化」というのが引き出されている様子が見えてきた。相手がいて理解してもらうには視野を広げざるをえない、「わかんない」「どうして?」っていう人がいることによって、「折ってもよいし計算してもよい」というふうに 自分の考えが、適用範囲の広い解に変わっていったのである(Shirouzu.Miyake & Masukawa, 2002: 白水, 2010)。 「三人よれば文殊の知恵」という言葉もあるが、「他者と一緒に考えて理解が進む」と私たちが言っているのは、こういうことなのである。相手がいると、相手がいちいちひっかかるので、それに自分の考えを作り直して、視野を広げて、自分の考えを抽象化する。2人で一緒に課題を解こうという活動を行っているときのほうが、これが断然起こりやすい。私たちはこういう人と人との相互作用について、一人ひとりの意見が、建設的な方向で、たくさんの問題が解けるような抽象化の方向で変わっていくものを「建設的相互作用」と名づけている。

協調学習とは: 対話を通して理解を深めるアクティブラーニング型授業,三宅 なほみ 東京大学CoREF , 河合塾

図式的にいえば、話し手Aが一生懸命自分のアイディアをより良くしようとする学びに従事している間、聞き手BはAのアイディアをBなりに理解してその適用範囲を広げるような学びに従事している。しかもAとBは、時々役割を交代するので、しばらくするとBが解提供者として自分の(最初より適用範囲の広がった)アイディアについてことばにしながら学び直し始めると、それを受け取るAが今度はそのアイディアの適用範囲を広げる方向で学び直す過程が起きる。私自身は、この現象を、「建設的相互作用」と呼んでいる。

http://coref.u-tokyo.ac.jp/wordpress/wp-content/uploads/2011/05/Report_1-1.pdf(元ページが分からず、直リンクしてしまってすみません)

理解の仕方

2人で一緒に課題を解こうとしているときに断然起こりやすいわけであるから、建設的相互作用を自分で説明できるようになるためには、 2人で「建設的相互作用」を説明する資料を作ることで新しいアイデアも思い浮びやすくなるのではないか。

参考文献