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「ビジネスモデル」が新規事業開発のボトルネックになる?スタートアップ、企業の新規事業開発を妨げる「ビジネスモデル症候群」の実態に参加しました。

概要

和波さんの主催するスタートアップ、新規事業向けのセミナーである『「ビジネスモデル」が新規事業開発のボトルネックになる?スタートアップ、企業の新規事業開発を妨げる「ビジネスモデル症候群」の実態』に参加しました。 ビジネスモデル症候群の話は過去のクローズドな和波さんのセミナーにて発表されたものを聞いていたので 初見ではありませんでした。しかし、内容は聴講者に合わせてかなり変えられていて、 「どういった行動を取るかの決断を促すものか」から、「ビジネスモデルを取りまく事実」の部分に焦点の当てられたものでした。 簡単にメモを残します。

内容

導入

導入として、なぜこの発表をするのかの説明があった。

支援先の成功

今まで、ベンチャーの支援をしていて、 こうすればたちあがるんだって話をしていたら、うまくいかず。 教えていたものと違う形でうまくいっていた。 最近は何を使えるかわからなかったので観察をしていました。

成功した人は何をして何をしなかったのか調べました。

リーンスタートアップが広まった結果

これまでは、課題を設定して、お金と時間を小さく進めましょう、MVPを作って検証しましょうと支援してきたが、 過去に2年間の間、新規サービス開発のサポートをしてきたが多くの会社が誰一人幸せにしていなかった。

学生向けには、琉球大学慶應大学において起業家育成のお手伝いをしていたが、 本気で起業したいと思っていた人に対して、「やめときなさい」って 起業をさせないケースが増えた。

会社に対しては、経営層から承認を得たサービスが何年やっても出てこない。 プロトタイプを外に出すのは許せないと、品質管理と戦う日々。

ビジネスモデルが無いとチャレンジしない、させないケースが急増した。 リーンスタートアップって概念が生れてからビジネスは増えてきているのか。 成功したサービスは増えているのか。 ここ最近、起業が増えているのは、リーンスタートアップの影響ではなく、 クラウド技術が増えて、誰でも簡単にサービスをリリースできるようになったからではないか。

ビジネスモデルに関する一般的な認識

ビジネスモデルの制度と事業の成功確率は正比例するのか。

ビジネスモデルを曖昧なまま使うとどんなマイナスがあるのか話す。

ビジネスモデルの研究者で、世界中のビジネスモデルの論文を集めてきて研究したクリストフゾット氏は、 「驚くべきことにビジネスモデルは多くの場面に明確な定義がされないまま使われている」と言っている。 これは、ビジネスモデルの言葉の定義をしないといけないのではないか。

本発表の目的は、「ビジネスモデル設計・構築」のマイナス面を整理すること

1.ビジネスモデルの2大デメリット

ビジネスモデル設計のデメリットは「行動を止める」と「選択肢を狭める」である。

「行動を止める」とは、ビジネスモデルを作り続けている間は、社会に何の貢献もしない。 リターンが望めなければリスクテイクしないことを促進する。

「選択肢を狭める」とは、長期に及ぶチャレンジをする際には、複数の選択肢がある方がチャレンジを継続できる可能性が高まるのに、 そこから遠ざかってしまうことが問題である。「実現容易な小規模収益源」と、「実現困難だが規模の大きい収益源」を確保するようにする。

2.本書の構成ビジネスモデルへの世間の期待とは

ビジネスモデルへの一般的な期待は、現状からの脱却と教育の体系化である。 ビジネスモデルが、企業の持つ課題を解決してくれるもので、新規事業開発のあるべき姿を 体系化されたものであることを期待されている。

3.ビジネスモデルの実態と定義

シュンペーター氏曰く、経営者には2タイプ存在していて、経営管理者(マネージャー)と、企業家(アントレプレナー)である。 経営管理者は、一般的な事業(小売、下請けなど)をする人で、マネジメント経営学が必要である。 一方、企業家は、イノベーションを起す人で、ビジネスモデルが必要である。

このとき、ビジネスモデルとは、単なる事業の形態ではなく、企業家にとっての経営学の総称である。 具体的には、「企業文化」「経営計画」「事業計画」「組織計画」「業務プロセス」など全てを含む。

学問の体系にあてはめると、経営学は社会の適応による検証と洗練される応用科学に該当する。 一方、ビジネスモデルは、観察・仮説化・検証を通じた諸現象への解釈である基礎科学分野の中の経験科学の社会科学に該当する。 なので、経営学では論理的に説明できないし、再現性が確保できない。

一般にビジネスモデルと呼ばれるものは、類型化されて、プロセス化されている。 実現できた人がいるんだから、事例を参考に設計できることになっている。 しかし、本当にそうなのか。できたプロセスは、すでにある事例に適応してみると良い。

サウスウエスト航空の事象に対して確認してみると、先にビジネスモデルを作ってはいなかった。 チアリーダーを採用していること、同じ機種の飛行機を集めていることについて理由を確認すると、 資金的に一般的に取られている方法が利用できなかったため、やむなくした決断であった。 サウスウエスト航空は、航空業界でイノベーションを興すことができたのではなく、 長年にわたり、窮地に陥る度に企業家が経営判断を下していた。 ビジネスモデルがイノベーションを興したのではなく、企業家の経営判断イノベーションを興していた。

結論としては、ビジネスモデルは「企業家の経営学」であり、 イノベーションは企業家の経営判断の結果である。

4.ビジネスモデル症候群の発生メカニズム

学術的コンセプトの拡散経路の媒体としては、5つの段階がある。 「学者」、「教育関係者」「企業家経営者」「二次情報加工業者」「一般大衆・経営管理者」 前3つのカテゴリは、基礎研究に近く「問題」に着目する。後2つのカテゴリは、応用科学に近く「解答」に着目する。

入試・テスト、ゲーム既存事業のようなものには、先に解答があり、後から問題が作られるので、解答や参考書が有効である。 新規事業イノベーション、政治のようなものは、問題が固定されず解答も存在しない。

後者に対しては、「どうすれば成功するか」、ではなく「何をすると失敗するか」を考える。 この2つを区別できないとビジネスモデル症候群に対する免疫が低くなる。

5.業界別ビジネスモデル症候群の症状事例

発表では、時間が足りないということでスキップされた。

6.ビジネスモデルが有効なシーン

企業にとっては、既存事業も新規事業も経営の観点からは同じ投資である。 投資における最も重要な判断は「しない」判断をすること。

ステークホルダの投資欲がかきたれられないかぎり投資を見送る場合に、ビジネスモデルは有効。 ビジネスモデルはシミュレーションである。 シミュレーションが良いのは、勝算が無ければ開始しない場合に有効。 具体的には、後発参入の場合、提供価値がネットワーク効果のみの場合、スモールビジネスから脱却する場合などに有効である。 自分のやっている領域で新しい収入をアドオンしたい場合には、領域に関して十分に既知であり使いやすい。

十分に既知の領域、ビジネスモデルのデメリットを理解し、やらない選択肢がある場合に有効。

7.ビジネスモデル症候群からの脱却

クリステンセン氏の「破壊的イノベーション」「持続的イノベーション」「効率的イノベーション」を紹介しながら説明があった。

理想的な循環としては、効率的イノベーションにおいて増加したフリーキャシュフローを破壊的イノベーションに必要な資本に当てることである。

イノベータのジレンマとしては、効率的イノベーションに投資し続けることである。 なぜ発生するかというと、株主から見た会社への評価であるROI/IRRが良くなるからである。 しかし、日本においての問題は、持続的イノベーションから経営にした人が経営に参画していて破壊的イノベーションを興した人が残っていないことである。

新規事業開発に必要な3の要素は、継続性、専門性、成長性である。

まとめと考察

ここ最近、立て続けに登壇していたため、話の仕方やスライドの作り方に注目してしまった。 話では、メインになるところをスライドで図解することに労力をかけているのが分かり、理解しやすいものであった。 図解と後から分かる資料にするトレードオフが難しいので、もうすこし考えたい。 スライドは全体の位置付けが分りやすいものであった。自分ができるようになって分かる分かりやすさ。

今回の話でスライドにはあまり載っていないが、起業家が顧客を幸せにしないで 実験台にしかしていないのが問題だという表現が何度かあった。 実験するために課題を解決するのではなく、課題を解決していたら気付いた流れが理想だとの話もあった。

前回、SLPの講演で話を聞いたときとは、全体的な主張は変わらないものの、内容が大きく変わっていて参考になった。 前回は、起業家が第一歩目を踏み出せない人が多い問題があったので、すべての話の構成を何かしらの行動に移すことを目的としていた。 しかし今回は、多くの引用を入れながら、ビジネスモデル症候群についての定義や特徴を詳しく話すものであった。 アカデミックな内容で、情報のモデリングが多様に行なわれていた。

自分なりの今回の発表の理解からの解法としては、ビジネスモデルを作り続けることに注力せず、行動しながらビジネスモデルを構築すること。 破壊的イノベーション、持続的イノベーション、効率的イノベーションの3つのサイクルをできるだけ小さく繰り返すことで、 新規事業開発における3つの戦いで必要になる「継続性」と「専門性」高めながら事業を継続できるのではないかと思った。 解法を作るなと言われたのに解法を作ってしまう。ごくごく小さな領域に関しては解法を考えてもいいのではないかと思って、この理解部分を残す。