Lean Startup Update!! 2015に参加しました

概要

マイクロソフトで開催されたLean Startup Update!! 2015に参加しました。
発表者が豪華なこともあってか140人の参加者枠が1日で埋まってしまうほどの大人気勉強会でした。
翻訳者やインフルエンサーから最新リーンスタートアップの知識を一気に得られる勉強会だそうです。
今回は、この勉強会の内容を簡単に紹介します。資料が公開されているものは、
資料へリンクしています。資料を見るまえに要点に目を通してもらうことで、俯瞰的に資料を見てより理解を深めることに役立てられたらと思います。

内容

TOCから俯瞰するリーンスタートアップ (河合太郎氏)

内容は、リーンの本質を掴むために全体最適原理主義から見たリーンスタートアップの見え方についての紹介であった。
TOCから俯瞰するリーンスタートアップ
以下要点。

TOC(全体最適原理主義)からみたリーンスタートアップでは、ボトルネックを見つけるためのメソッドの1つ。

TOCでは、以下を常に考えつづける。

そのためには、「ボトルネックを見つける」、「ボトルネックを解消する」、「ボトルネックが他に移る」を繰返す。
そのための具体的な方法として、リーンだと「リーンキャンバス」「インタビュー」「MVP」などがある。

リーンスタートアップ導入の現場 黒田樹氏

内容は、守破離のステージごとに分けたリーンスタートアップへの取り組み方の紹介であった。
実例は、ものづくりフェーズのBMLループの回し方の話が主であった。
LEANSTARTUPの現場 #leanstartup
以下要点。

リーンスタートアップの真意は、「全ての意思決定において 無駄の無い判断をしていること」

仮説を検証することに絞ると、すでにプロダクトがある場合には購入ボタンを置くだけでもいいのではないか。
LeanStartupのプロセスを「MVPキャンバス」、「アジャイル開発」、「コホート分析/ファンネル分析」に分けている。

科学的アプローチでリーンスタートアップを考えると思考プロセスは、以下のように逆になる。

  • 仮説
  • 何を学ぶのか
  • 必要なデータは?
  • どうやって計測する?
  • 必要なものは?
  • どう構築するか?

逆にした一連の思考プロセスと実証プロセスに合せてフォーマット化したMVPキャンバスを作った。

成功している人はリーンを知らずとも、資金がバーンダウンしていく速度をいかに遅くしてなおかつ学びを得るか、そして成功するかという考えのもとに、それらしいこと実践している。

Lean UX Quest in Tokyo 坂田一倫氏

内容は、LEAN UXを実践する上で重要な点と、LEAN UXを実践する団体の紹介であった。
Lean UX Quest in Tokyo
以下要点。

LEAN UXの著者が日本に来たときにセミナーをやったら各著者の大事にしている部分があった。

  • リスクの洗い出し
  • 実験でユーザーを理解する
  • 実験結果から学びを共有する
  • 実験の適切なサイズを考える

  • 前提を共有する

  • 仮説ステートメントを作成する
  • 実験方法を設計する
  • MVPの作成

WHY LEAN UX? なぜLEAN UXなのか?

  • どのようにつくるかではなく、どのようなものをつくるか。
  • 問題解決よりも問題発見と定義に重きを置く。
  • 透明性を維持し、共創文化を醸成する。
  • ユーザーそしてメンバーからの学びを大切にする。

2014年下半期よりLEAN UXを実践・普及させる団体LEAN UX CIRCLEを設立しました。

Lean Analytic 角征典

RUNNING LEANで利用されているリーンキャンバスの8番目の「主要指標」を扱うための方法として考えるべき事をリーンアナリティクスに基いての説明であった。
Lean Analytics at Lean Startup Update!! 2015
以下要点。

ダメな指標を避けて、次の行動につながる指標を選ぶ。
相関関係ではなく因果関係を探して評価基準を決めろ。

指標は、ビジネスモデルとステージのマトリクスによって決まる。

  • 共感ステージは、顧客インタビューによる課題の発見。
  • 定着ステージは、魅力的なソリューションの確立。
  • 拡散ステージは、ユーザに情報を広めてもらう。
  • 収益ステージは、お金を稼げるかどうか。

フォーカスするのは1つだけ。なぜなら、スタートアップはリソース不足だから。 次のステージへ進むために必要なものを考える。

実録!現場におけるLeanStartupの実践 冨山香織氏

ヤフーでの実践から落しこまれたケースワーク集であった。
それぞれ、新規プロジェクト、アジャイル導入済みプロジェクト、ウォーターフォール継続中のプロジェクトの3つのケースに分けて紹介していた。
実録!現場におけるLeanStartupの実践
以下要点。

新規プロジェクトでは以下のことを意識する

  • 課題を認識する
  • 効率の悪いピボットを避ける
  • ユーザよがりになりすぎない

アジャイル導入済みプロジェクト
アジャイル導入済みのプロジェクトには、すでにある流れの中にリーンのフェーズを追加して実践した。
仮説やPBLをBuildとして作るフェーズの後に検証(Measure)をし、次の仮説に向うまえの判断フェーズの後にLearnとする。
仮説の立て方が分からない場合は、以下の項目からなる仮説シートを使う。

  • 現状分析
  • 目的/仮説
  • 具体的な案/仕様/スケジュール
  • 効果検証
  • 分析/KPT

ウォーターフォールプロジェクトでは、勝手にやったり、勉強会やインタビューするところを見せることから始める。

人間と話す Lean Customer Development 馬田隆明氏

内容は、スタートアップがニーズのないものを作ってしまうので回避策として、Lean Customer Developmentのインタビュー部分を紹介したものである。
インタビューで失敗しやすい点を、具体的な質問例と共に紹介されている。
人間と話す: Lean Customer Development (Lean Startup Update 2015)
以下要点。

スタートアップは、マーケットのニーズが無いものを作って失敗することが最も多い。
人が欲しいと思うものを作る必要があるので、Lean Customer Developmentのインタビュー部分を紹介。
インタビューでは、60秒沈黙するテクニック(勇気)を使うと相手の方から話してくれる。
インタビューで失敗しやすい気をつけるべき点は以下。

  • 希望を聞かない:今現時点の実際を聞く
  • 誘導しない:オープンに聞く
  • 抽象的に聞かない:具体的に&プロセスを聞く
  • 希望の機能を聞かない:競合や課題を聞く
  • 自己分析させない:事実を聞く

プロトタイプを作ってインタビューした方が効果的なケースもあり、そんなときはデザインスプリントを使う。

考察というほどでもない感想

TOCから俯瞰するリーンスタートアップ (河合太郎氏)

自分は、複数の方法を学ぶことでブレが生じているのではないか、
リーンやUX、人間中心設計、市場中心設計など幅を広げすぎではないかと考えていたが、
河合氏の話を聞いて複数を同時に学ぶこと自体は、本質を上手く学べるので問題ないのではないかと思えた。
実際に、複数の方法論を抽象的に捉えたり位置付けを考えられたりしている。

リーンスタートアップ導入の現場 黒田樹氏

仮説を検証するためには、BMLループの逆の回し方から作るものを決めるのが効果的ではないかという話が非常に参考になった。
別途コホート分析についての学びもあった、
「どのバージョンから使い始めたか」、「○○したひと」、「○○をフォローしている人」のレベルで分析をしていることを知って勉強になった。
予測していたものが上がっても、別の部分が下がってしまうことがあるので、コホート分析時には全体を確認する。

Lean UX Quest in Tokyo 坂田一倫氏

LEAN UXの要点やマインドのポイントを学ぶことができた。今後は、LEAN UX CIRCLEにも参加します。

Lean Analytic 角征典

起業家は知りたいことばかりを集めてしまうが、未知との遭遇が大切とのことであったので、もうすこし視野を広げるようにしたい。
今までは、常に指標は複数のものに対して係数をかけ計算したものだと考えていて、その数値を最適化すると会社の成長になるものだと朧げに考えていたが、
指標を考えることにコストがかかることと、指標が変わることを考えると、各ステージに応じて1つだけの指標を選択することは非常に納得できた。

実録!現場におけるLeanStartupの実践 冨山香織氏

リーンスタートアップ複数の実践例を用いながら説明を受けて、実際に自分の中にあった経験とリンクして理解できた。
仮説はまだ自分の中で甘いと思っているので、仮説シートの項目を埋めることで仮説の質を上げたい。

人間と話す Lean Customer Development 馬田隆明氏

Lean Customer Developmentのインタビューの内容としての話であったが、ユーザビリティエンジニアリングとも同様の内容であり理解しやすいものであった。
具体例が多かったので、ユーザビリティエンジニアリングだけでは補完できていない部分も学ぶことができた。
複数の書籍で同様の方向性で進められていて、今後進めていく上での安心につながった。
ユーザからの学びを得るためには、ノンバーバルなインプットも重要になってくるので、そこを補完した情報を得たい。

全体

複数の視点からリーンを学べたことでメタ的なリーンへの理解が深まった。
今後も、他の方法論と同時に学んで関連付けしながら理解していきたいと思う。