カウンセリングと心理療法の基礎のメモ

臨床心理学の代表的な理論モデル

精神分析療法

乳幼児期の体験から、無意識に抑圧された結果として症状が起きるので、 無意識の抑制の解除と精神葛藤の意識化を目的とする。

分析心理学

意識と無意識のバランスが崩れることが問題。 無意識の深層を意識的に統合する。

クライエント中心療法

人はみな成長と自己実現を求めるので、そうでない場合は心理的な不健康。 潜在力と主体能力を尊重する。

行動療法

行動は学習の原理に従って特定の状況のもと学習された反応。なので、学習訓練手続きを用いて好ましい行動を形成するようにする。

認知行動療法

人は「刺激、認知過程、反応」の認知過程で情報処理し行動する。心理障害になると、認知過程の認知の歪みが起きる。認知の歪みの修正する。

家族療法

心理障害を個人ではなく家族システムとしてとらえる。システム全体に変化させる。

コミュニティ心理学

人の行動は、社会的物理的環境と相互作用の中で成り立つ。なので、個人の心的内面や行動のみではなく、人と環境の両面に働きかける。

その他

理論モデルや技法の効果に対する影響は10パーセント程度 p178

心理療法の効果のある場所

40パーセントの要因は、カウンセリング外要因。重篤度、慢性度、楽観主義、カウンセリングの動機付け、ソーシャルネットワークの有無など。

30パーセントの要因は、クライアントとカウンセラーの援助関係。

26パーセントは作業同盟の質。

アプローチの差は比較的影響が小さい。

読書記録『自己肯定感、持っていますか? あなたの世界をガラリと変える、たった一つの方法』

自己肯定感の向上のためについて調べるべく、 自己肯定感、持っていますか? あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法 大和出版 を読んだので簡単にまとめる。

こちらの書籍の著者は、精神科の専門医指導医が執筆されているということで、本屋で10冊程度調べた中では、信頼できる内容だと判断した。 自己肯定感に関する書籍は、カウンセラーという肩書の方が執筆されていることも多く、精神医学を学んでいる方が書かれているのは比較的信頼しやすい。

数ある心理療法の中でも、対人関係療法という手法を活用している。 日本では、対人関係療法は、こちらの先生がほとんどの本を出している。海外でも研究されている方がおり、H.S.サリヴァン「精神医学は対人関係論である」という書籍もある。

本の内容メモ

自己肯定感が低い人に起こること

自分にはどうせ無理だ、と思って新しいことを始められない。

「自分がどうしたいか」ではなく、「相手はどうしてほしいのか」「どうすべきか」を考えて振り回されたり、大変な思いをしてしまう。

頑張りが足りない、我慢がたりないと、自分を追い込んでしまう。 誰でも辛いことには耐えていると、現状を改善しない。

隣の人が話しかけてくるのがじゃまになる。 聞かなければいい、相手をしなければいいと考えられない。相手中心で考えている。

自分の思っていることをわかってくれないことに腹が立つ。 自分を肯定していない人ほど、周りの人に気持ちを読んでほしがる。

周りの人の機嫌が悪かったときに、自分に原因があるのでは?と思う。 不要にストレスを感じてしまう。

周りから傲慢だと思われない、嫌われないために自分をあまり肯定せずにいる。 傲慢より謙遜でいたい。自分を低く考えておけば失礼がないだろう。 ・「自分なんて、全然大したコード書ける人間じゃないんです(部署内では一番技術力が高いけど)」

褒められるのが苦手で、褒められると、そんなこと無いよって言ってしまう。 自分で自分の良さを認めているように感じて申し訳ない。 ・例えば、「〇〇さんのコミットの分割はとてもわかり易いよね」→「いやいや、そんなことないです」

自己肯定感が低いと、こんな自分を好きになってくれたと相手をよく確認しないから、変な人を受け入れてしまう。

どうせ自分なんてと、自虐的、ネガティブな発言をしてしまう。

誰かと意見が対立したときに、向こうの言い分が分かると言われると腹が立つ。 正しい考えという絶対的なものがあり、それ以外は間違えたもの。

自分では気づけないもの

注意をされても自己正当化をして非を認めない。認められない。

相手からすると、過剰な感謝、過剰な謝罪をしてしまう。

法則

決めつけが強いほど、自己肯定感が下がる

自分の言動を否定されながら育った人は、多様な意見を受け入れづらい。

解決方法

人に対して尊重する。敬意を払う。

なにか能力があることに対して尊敬するのではない。 何かの条件があるから、尊敬するのではなく、無条件に敬意を払う。

なぜなら、自分から見ると駄目な行動をしていても、その人にはその人なりの事情があるから。 なにかの理由で頑張れなくなっている、何かの理由で偉そうにしているかもしれない。

相手に条件を付けず、相手を評価しないようにする。

相手に対して不快感をもったときには「なにか事情があるんだろうな」

自分を好きになりたいということは、今の自分が好きではないということ。 だから、ありのままの自分を受け入れるようにする。 自分の好きなところ探しをするわけではない。

自分より人に対してのほうが寛容になりやすい。だから、人をリスペクトするところから始める。

自分にダメだと思うのではなく、大変だったねと思うようにする。

自己肯定感が低いとやりたいことを挙げられない。 無理だとか、変なんじゃないかと思ってしまう。なにかをしたいって思えなくなる。 「〜すべき」と考えるようになる。「〜すべき」は他人にも要求するようになる。

自分の嫌いなところに向き合う。 好きなところを探すのは条件付きリスペクト 嫌いなところを探すと、ハンディがあるのに頑張ってる自分を見つけられる。 恵まれれない環境で育った自分を認めてあげる。 誰だって恵まれれない環境でと考えても、あまり得をしない。

人とつながりを作ると良い。 嫌われないように振る舞うこと、相手を束縛することは偽のつながり。 あまり合わないけど、心から信頼できる友達をつくる。(対人関係療法

対人関係に問題がないと思う人にも、対人関係両方は有用。 対人関係に問題がないと思う場合、自分を抑えて、相手に合わせている場合がある。その場合は、心の病に陥る可能性がある。

人に対して自分を偽らないといけないのは、相手へのリスペクトが不足しているから。

治療者は、自己肯定感の代わりをする役割。 自己肯定感できない人のありのままを受け入れ、一緒に前向きな変化を起こしていく。 患者に症状なのだから仕方ないと受け入れてもらうのも、ありのままを受け入れてもらうことになる。

本当の気持ちを伝えることは、とても大きなハードルがあるので治療者がフォローする。 「伝えてみたら受け入れられた」という体験が、大きなエネルギーにつながる。

感想

心理学的な検査をするときに使われる尺度を用いて自分を計測すると、ほとんど必ず自己肯定感が高いと判断できる。 しかし、こちらの書籍の自己肯定感の低い人の特徴としては、ある程度当てはまっていた。

こちらの書籍の内容が正しいとすると、自分が使っていた尺度では、計測が不十分とも感じた。

主観的には、自己肯定感として正しいかどうかはおいといて、こちらの書籍に書いてある考え方をできた方が生きやすくなるのではないかと思った。

今後

心理療法についてはほとんど知らないため、こちらを読んで勉強する予定である。

対人関係療法について、水島先生以外方があまり本を出していないのも気になったため。

カウンセリング・心理療法の基礎―カウンセラー・セラピストを目指す人のために (有斐閣アルマ) https://amzn.to/2CB23nt

よくわかる臨床心理学 (やわらかアカデミズム・わかるシリーズ) https://amzn.to/2CxEFY0

子供の自己肯定感に影響を与える要因について調べて考えたこと

子供の自己肯定感に影響を与える要因について調査した研究があったため、簡単に紹介する。 今回は、子どもの自己肯定感に及ぼす影響要因に関する実証研究 : 京都子ども調査をもとに An Empirical Study on Influencing Factors of Self-affirmation of the Child : Based on the "Children's Survey in Kyoto”を参考にする。

性別、経済的要因、関係要因が影響を与えるとのことだが、もう少し細かく説明すると、女子と男子では影響を与える要因が違っていた。 女子は「親への信頼」がほとんどの影響を占めているのにたいして、男子の場合は「親への信頼、親の学業干渉、学校生活 享受感、学業満足度、友人の多さ」など、多くの要因が影響をしている。

詳細

自己肯定感の尺度

今回、自己肯定感自体を計測する指標としては、以下の項目で確認をしている。 解答選択肢 「当てはまる、やや当てはまる、どちらともいえない、あまり当てはまらない、当てはまらない」

  • 今の自分に満足している
  • 自分には、人に負けない得意分野がある
  • 自分でも人の役に立てることがあると思う
  • 自分は駄目な人間だと思うことがある
  • 自分の性格で嫌だと思うこと多い

要因として、影響が大きかった項目の確認内容を紹介する

解答選択肢 「当てはまる、やや当てはまる、どちらともいえない、あまり当てはまらない、当てはまらない」

【親への信頼】

  • 親を尊敬している
  • 親は自分の意見をよく理解してくれている
  • 親は自分を大事にしてくれていると思う
  • 親とよく話をする

【親の学業干渉】

  • 成績のことでよく怒られる
  • 親が口うるさくて嫌になることがある
  • 親は自分を必ず大学に行かせたいと思っている

【学校生活 享受感】

  • 学校に行きたくないと思うことがある(R)
  • 自分の居場所が無いと感じることがある(R)
  • 学校は楽しい

【学業満足度】

  • 成績はいいほうだ
  • 授業が難しくてついていけないことがある(R)

【友人の多さ】

  • 同じ学校の友人 「たくさんいる、まあまあいる、あまりいない、全くいない」
  • 違う学校の友人 「たくさんいる、まあまあいる、あまりいない、全くいない」

感想

男女によって大きく結果が異なるのは、想像していなかった。 自分の場合は男なので、多くの指標がある方しか実感はないので、そちらについて考えていきたい。

男の子からすると、自分の能力を示す値として計測しやすいのが学力だから、学業満足があるのだろう。 学校生活に関しては、学業成績によって入れる学校も変わってくるし文化も変わるため、こちらも学業成績の影響を受けるのではないかと思う。 振り返ってみると、自分の自己肯定感は成績にかなり影響を受けていた実感がある。

大学生くらいになると、他の能力の軸も自分の中で持てていたため、学業成績からの影響を受けづらかったのかもしれない。 さらに、大学だと成績順が分からないこともあり、成績の影響が小さくなったのかもしれない。

また、自分と周りに聞いた反応から、考えたのは成績がいい悪いというより、自分ができると思えるか、できないと思うか、である。 というのは、「勉強したのにできなかった」という感情と、「勉強してないから、できなかった」という感情では、 成績がどの程度自分の能力に帰属していると思うかが異なる。 なので、成績が良かった悪かったと思っているかどうか以上に、能力があると思っていたかどうかの方が影響があるのではないかと思った。

親との関係についても、当たり前かもしれないが、どのくらい関与してきたかの事実ではなく、 親から関与してきたことがどのくらい嫌だと感じるかを確認していて、事実ではなく解釈を確認している。 ということは、親として接するときには、子供のためになると思わせることで、成績へ関与しても自己肯定感を下げる要因にはなりづらくなるのではないか。

また、子供時代のことを思い出すと、親が大事にしてくれていると思うことはあるが、その当時に大事だと感じることは少ないんじゃないかとも感じる。足りない、うるさいなど、ネガティブな感情については認知しやすいが、大事にしてくれた、嬉しいことをしてくれたことに関しては、認知しづらい。 これに関して、親の立場から強化するのであれば、第三者から親の接し方にポジティブな評価をしてもらったり、するのではないか。 自分の人生を振り返って、親からしてもらったことを振り返る内観では、こういったありがたいことを改めて振り返ることで、ポジティブな評価を引き出すのではないだろうか。

動機づけのためのショートストーリーが胡散臭く感じてしまう理由を説得の心理学から考える

教材や商材などには、その商品の効果を簡単に表すために漫画など、ストーリーを使うことがある。 しかし、そのストーリーに違和感を感じて逆効果になる場合もよくある。

そこで、今回は説得の心理学の観点を使って、なぜ胡散臭く感じてしまうのかを考える。

結論

要因

  • 効果が信じられない
    • できるだけ根拠を説明する
  • 自分を変えようとしていると感じる
    • 作成側のためではないと思ってもらえるように信頼される

詳細

動機づけのためのコンテンツの多くは、長くならないように調整されているのではないだろうか。 早く全体像や効果を知って、興味を持ってもらおうとしているのだと思う。

理由1:効果が信じられない

しかし、過剰に短くしてしまうと、成功までに必要な根拠を自然に入れることができなくなり、嘘っぽい成功談になるなってしまう。その結果、信じられないという気持ちにつながる。

これは、リアル志向のスポーツ漫画などでも起きていて、そんなこと起こるはずないじゃんと思うようなものも同じであろう。弱かったチームが強豪チームに勝つが、結果を信じられるほどの要素がなく、うんざりしてしまうなど。 こうならないために、スポーツ漫画では、弱かったチームでも、新入生に強いメンバーが入ったり、すごい監督になったり、科学的なトレーニングを取り入れたり、練習を多くしたり、対策を入念にやっていたりしているのではないか。

これは、社会心理学の説得の分野で言う信憑性の部分である。

この場合は、効果について疑いを持っているので、本当に実現できると思わせる根拠を説明することで緩和することができる。(が、ショートストーリーという目的からはズレてしまうので、トレードオフが必要。ちょうどよい落とし所を探す。

理由2:自分を変えようとしていると感じる

しかし、過剰に短くしてしまうと、ストーリーを通してアピールしないといけない情報を全面に出してしまったり、アピールすることの密度が高くなってしまう。その結果、このストーリーは、自分たちを変えようとしていると感じられてしまう。

もっというと、自分たち(読者)のためというより、作成者が自分たちを騙そうとしているのではないかと感じるのではないだろうか。

これは、社会心理学の説得の分野で言う信頼性の部分である。

この場合は、相手が自分を騙そうとしていることに対して疑いを持っているので、自分の利益のためだけに言っているのではないことが伝われば緩和することができる。 だが、これに関しては単純な問題ではない。なぜなら、「あなたのためですよ」とかけばいいわけではなく、そう思えるようにしないといけないからである。たとえば、詐欺師が最初に物を売りつける前に、おばあちゃんに親切にするなどの行為は、この信頼性を勝ち取るための行動であろう。

提案から説得までのプロセスを対象者の観点で分類 〜仕事で使う場合を想定して〜

提案から説得までのプロセスに対して、よくアドバイスをしているが、全体像を把握していなかった。そこで今回は、仕事で使う場合を想定して分類する。

前提として、こちらの記事での用語の位置づけ

  • 相談:やることに対して意見を言ってもらうこと
  • 提案:考えを相手に提出すること
  • 交渉:相手と話し合って決めること
  • 説得:相手の考えや行動を変えること

大きく分けて、提案から説得までの対象者は、一人の場合と、グループの一部、グループ全員の場合が考えられる。

今回は、最終的な目的として説得しないといけない人を挙げる。 というのは、上司に決定権があるので、上司を説得するために自分の周りのチームメンバーを説得するのではあれば最終的な目的は上司である。チームメンバー全員を説得するために、上司を説得して上司に説得してもらうのであれば、最終的な目的は上司である。

一人の場合は、代えが聞かない場合を指す。上司や、特定の権限を持つ人など。 グループの一部の場合は、ある条件を満たしていたら誰でも良く、全員でなくて良い場合を指す。特定のロールの人など。その中でも、一部の人の母数が多い場合と少ない場合で極端に取りうる手段が変わってくると考えたので、さらに分類した。 グループの全員の場合は、そのまま特定のグループの全ての人を説得する必要がある場合とする。

  • 一人
    • 特定の人
      • 上司
      • プロジェクトのリードエンジニア
  • グループの一部
    • 特定条件の任意の人(特定条件が厳しい、母数が少ない)
      • 自部署のデザイナーの誰か
      • 海外出張行った誰か
    • 任意の人(特定条件が優しい、母数が多い)
      • 社内の誰か
      • 社内のエンジニアの誰か
  • クループの全員
    • 自分のチーム全員
    • 自部署のデザイナ全員
    • 自分の会社全員

良かれと思ってやったことが裏目に出ないためのコミュニケーション

人はそれぞれ物事を考えるときに自然に使う枠組みが違うから、良かれと思ってやったことが裏目に出てしまうことがある。 例えば、以下のようなケースで喜ぶどころかモチベーションが下がってしまうなど。

  • 開発プロセスに興味があると言ったから、エクセルでの進捗管理を任せた
  • 将来的に管理職を目指していると言ったら、ソフトウェアの発注管理の業務を任せた

それを少しでも避けるために、対策を考えてみた。

原因:どうして、こんな事が起こるのか

開発プロセスに興味があると言った人は、スクラムウォーターフォールなどのプロセス策定や導入に興味があると思って話したつもりだった。しかし、上司のなかの開発プロセスというと、進捗管理のイメージが強かったため、こうなった。 など、言語が同じでも、そこから想起されるものが異なると、こういった事になりやすい。

部下が用語のイメージを間違えていることもあるし、上司が間違えていることもある。

対策:そのために何をしたらいいのか

  • 言語のイメージを聞いてみる
  • 最後に相手に決めさせる

まず大事なのは相手の言語化に対するイメージを聞いてみることである。 同じ言葉を使われていても、指すものがぜんぜん違う場合には、聞いてみるしか無い。 例えば、こういう仕事を任せるのだとどう?と聞いてみると、合っているか違っているかの反応をもらえて認識合わせがしやすい。

もう一つは、最終決定を相手にさせるということである。 「前に話していたやりたいことに近い内容だと、こんな案件があるけどどうかな?」というふうに聞くことで、自分で決めた気持ちも引き出すことができる。 認識ズレが起こりづらくなる上に、自分で決めることでモチベーションにつながる。

裏狙い

良かれと思って行動したときに「部下が悪い」と結論付けると、今後部下に対して良かれと行動しなくなるのではないかと考えた。 そこで、この記事を読むことで部下に問題があると考えるのではなく、二人の言語に対するイメージが違っていたのかも、と考える切っ掛けになればと思い、書きました。

あとがき

心理学の原因帰属って、自分か課題で分類している。しかし、対人関係の場合は自分と相手という分類をすればいいのだろうか。このへんは探求したい。

安易に「私は向いてない」と思わせないメンターの励まし方のアイデア

向いてないと考えることは、悪いことではない。向いてないことを早く諦めて向いてる事にリソースを導入するのは、効率よく仕事をするために必要だろう。

しかし、物事は初期段階と習熟してからでは必要になる能力や資質が違うから成果を発揮できない、やり方を知らない、似た経験が無いなどなど、将来的に成果を発揮し得る人が最初は成果を出せないことも多い。

その時、「向いてない」と考えてしまう現象を心理学の分野では、原因帰属の理論で説明されている。 人は原因を考えるとき、その原因が自分にあるのかどうか、変わりうるものなのかどうかの二軸に分類できる。このとき、自分にあって、変わるものだと思わせられると、向いていないと考えるのを回避できる。

原因が自分にあって変わらないものだと、「才能がない、向いていない」 原因が自分にあって変わるもの「やらなかったからだ、やり方が悪かったんだ」 原因が自分になく変わらない「アサインがよくなかったんだ、こんな行動をする後輩が悪いんだ」 原因が自分になく変わる「たまたまよくない案件に当たってしまったんだ」

解決策としては、いくつかある。

原因帰属にたいしては、原因が自分にあって変えられるものを考えるようにする質問をする。 やり方をどう変えたらうまくいくと思うか。なんの知識や技能が身についたら出来るようになると思うか。など、問うてみるとよいのではないか。

特に、教育関係の仕事においては、よく後輩や受講生など指導対象を原因としてあげることが多いので、そう行った場合は、そのために何かできる事は?など、自分の行動を変えるように促すことができるのではないだろうか。

他には、向いている・向いてないの比較対象や比較軸を変えるなどもあるだろう。他の人ができているかいないかでなく、自分の中ではどうか、別の観点で見ると優れているなどもよいのではないか。