モチベーションの12の理論 6章 フロー理論まとめ

  • フロー理論とは
    • フロー理論の位置付け
      • モチベーション研究における情報論的アプローチの1つ
      • チクセントミハイ(Mihaly Cskszentmihalyi)が提唱
      • 内発的に動機づけられた活動に対する主観的経験に着目した人間発達のモデル
      • 自己の没入感覚を伴う楽しい経験を通して複雑な能力や技能の身につけられる
      • 2つの側面がある
        • 内発的に動機づけられたポジティブな状態と生起条件を説明する「現象学的モデル」
        • 複雑な能力や技能を身につける「人間発達のモデル」
      • 主観的な経験を議論の中心に据えた研究
    • 特徴と生起条件
      • フローとは内発的に動機づけられた自己の没入感覚を伴う楽しい経験
      • フローは人の最適経験
      • 具体的には
        • ロッククライマーが岩登りに夢中になっているときに自分が自分であるという意識がなくなる
        • 自転車競技の選手が自転車を含む1つのシステムになったように感じる
      • 主な特徴は、「内省的意識の喪失」であり「行為と意識の融合」である
      • 時間が早くすぎるように感じる
      • 活動の最終目標が、活動を行うことの理由付けになる
      • 生起条件
        • 難しさのレベルが行為者のレベルと釣り合っている
        • 瞬間瞬間の目標が明確でフィードバックが即座に得られる
      • 日常生活をフローの生起条件を満たすように構築すればフローの源泉になりうる
    • 発達のメカニズム
      • フローは自分の能力と活動の難度がつりあうと発生する
      • 能力と難度が低いレベルでも、つりあうと楽しむことができる
      • 活動を通して自分の能力が高まると退屈に感じ、課題の難度を上げる
      • 難度高い課題に取り組むと能力に不安を感じ、能力を向上させる
      • 不安と退屈は不快なためフロー状態に戻ろうとする
      • 能力と難度が高いレベルで釣り合っていても安定するわけではないので能力が上がると難度も上げる
  • フローを経験しやすい人の特徴
    • 外発的な報酬のためではなく内発的な行動にフローを経験やすい
      • 外発的な報酬は、社会的評価や将来の金銭利益など
      • 内発的な行動は、行為自体に喜びや楽しさを見出しやすい
    • フローは誰でもが経験できるわkではない
    • 大学生への調査でも27%がフローを経験したことがない
    • フローを経験するための重要な条件に意識の統制をもたらす注意のプロセスがある
    • フロー経験の頻度を決める要素
      • 外的:活動の持つ方向性や構造
      • 内的:どのように捉え、どの程度心的エネルギーを注ぐか
    • フローを経験しやすいほど高い数値を得られるもの
      • 集中力
      • 楽しさ
      • 活動度
      • コントロール
      • 自分への満足
      • 将来に対する重要性
    • 重要そうでないテレビ視聴に関しても、将来への重要度、集中や状況のコントロールを感じている
  • フロー経験がもたらすもの
    • 17歳までに自分が優秀と認められた分野に没頭し続けた生徒は13歳時点でフローしやすく活動に不安を感じづらかった
    • 数学の授業過程で前半にフローを経験することが多かった生徒のほうが後半での成績が良かった
    • レジリエンスの研究では、フローの経験が非行の減少と関連があったとされる
    • フローとWell-Beingの研究
      • フロー経験の頻度と正の相関のあったもの
        • 自尊感情
        • 人生における満足度
        • 生きがい感
        • 日常生活における充実感
      • フロー経験の頻度と負の相関のあったもの
        • 日常の不安
        • 授業への意欲低下
        • 大学生活の意識低下
        • 職業選択に関するモラトリアム状態の三側面
          • 活動の延期、混乱、回避
      • 因果関係は認められない
      • ポジティブな発達を示唆する
    • 授業中にフロー経験にある割合によって期末の成績を予測することが可能である
    • より多くのフローを経験させれば、学びの態度や行動を育成して成績を上げられることを示唆する

新人研修に必要な性善説と枠組みの考え方

新人研修で面白い話を知れたので、それについて考えていきます。

研修で問題発覚

たとえば、 新人研修や教育現場でこんなことはないでしょうか。

想定していた状況と、新人の行動が全然違った。

  • 他人の課題を写して提出している
  • 締め切りまでに課題を終わらせていない

こんなとき、みなさんならどう思いますか?

  • 新人の出来が悪い
  • 出題した課題が悪い

「新人の出来が悪い」と思うと、思いつく対策は 「今年の新人は出来が悪いから、説教をしなければ」 となるかもしれません。

「出題した課題が悪い」と思うと、思いつく対策は、 「課題の作り方や目的の伝え方が不十分だったから、課題を見直したり伝え方を変えなければ」 のようになるのではないでしょうか。

新人の立場で考える

新人の立場に立って考えてみると、こうでしょうか。 自分なりに出題された課題を熟してみたものの、先輩から 「お前たちの代は、課題の提出が遅いし、人のものを写しているではないか」 と言われます。

どのくらいの期間に何を終わらせるのかも分からないまま課題をやり、 一方は、早く終わらせなければいけないと思い、課題を移してでも早く提出すれば怒られ、 もう一方は、時間をかけてでも自分で解くことが大切だと自力で課題に向き合っていれば課題を提出するのが遅いと言われ。

課題として何を目的なのか伝えてもらればできたかもしれない、 何が目的か考える時間があれば考えたかもしれない。

そんなとき、先輩から以下の3つの言い方をされるとどう感じるでしょうか。

「ごめんごめん、説明が悪かったから目的が伝えきれていなかったね、 本来の目的はこれだから、こんなふうに課題をやってほしいんだけどいいかな?」

「お前たちは、課題のやり方も締切の意識もなさすぎる。学生じゃないんだから、 仕事なんだから、やってくれないと困るんだけど。 課題は、コピペは言語道断。それはカンニングと同じだから不正だよ。」

「ああ、そういえば、課題の目的とか説明していなかったよね、 今回の課題は現場で仕事をする上でどんなことを身に着けてほしいと思っているか、 みんなで話をする時間を設定するよ。 あとは、それだけでは不十分だから、先輩の業務はどんな感じで進めているか見学できる時間も調整するね」

1つ目は、目的を伝えていなかったことを謝罪し、目的を説明する。

2つ目は、不満を感じていることを伝えて、どうやってほしいか細かく支持をする

3つ目は、自分たちで課題の目的について考える時間を設定して考えてもらい、自ら気づいてもらうようにする。

なぜこうなるのか

理由としては、 「原因が自分たちにあると感じているのか、新人(受講者)になると感じているのか」 「自分の当たり前と、相手の当たり前が違うことを理解していない」があります。

原因の所在

エンジニアの場合、プログラミングをしているとプログラムが動かなかったときに、コンパイラに問題があると思ったり、 IDEがエラーを出すのが間違えていると思う人は少ないんじゃないでしょうか。 自分が間違えたコードを書いたから意図する通りに動かなかったと思う(自責の)人が多いみたいです。

しかし、新人研修になると、それが一転して新人(受講者)に問題があるから、 想定通りの行動をしないと思う(他責の)人が多いみたいです。

当たり前が違う

当たり前ですが、自分たちの持っている情報の全てを新人が持っているわけではありません。

これまでの経験や、今ある情報から次の行動を選択しています。

その部署の現場での業務がどんなものが分からなければ、 想像してよしなに解決することは不可能でしょう。

これはやっていいのか分からなければ、無難な方、人に迷惑がかからなそうな方など、 自分たちが正しいと思うことを選択して行動するのではないでしょうか。

人によって物事を考える思考の仕組みや、情報が違うことを認知科学では枠組みの違いといいますが、 今回は枠組みが違うことを理解せずに研修を進めた結果起きたことだと考えられます。

間違えたやり方のままだと何が困るのか

他責にして研修が改善されなかった場合、毎年同じ説教を行わないといけなくなるでしょう。 説教をすることでのマイナスは、他にもいろいろなものに波及思想です。

自責で研修を改善していくと、より良い研修に進化してどんどん新人は想定したスキルやマインドを身に着けて現場に来てくれるようになるんではないでしょうか。

  • 「コピペ提出している人を呼び出して問いただす」
  • 「締切までに絶対完了させるように厳しく言わないと」
  • 「課題の意図を適切に理解できるように説明しないといけないのか、いまの新人は。」

こんなふうに思うこともあるでしょう。

これも1つの解決法だと思います。 しかし、理解してほしいことがあるなら、これでは不十分かもしれません。

プログラミングだと、コンパイラが動かないからコンパイラを変えようとしないのに、新人研修で新人が思った通りに動かないと新人を変えようとする。

提出が遅れてるなら、締め切りでガチガチにマネジメントしないと、、、って、 締め切りはあったほうがいいと強く押す研修作成係 反対するメンター、状況の確認をしようとする。

『モティベーションの12の理論』をの主張や理論4,5章分

4章人と人の関係に関する動機づけ

  • 他者との関わりは学習を阻害する原因として扱われることが多い
  • 他者との関わりは動機づけに肯定的な影響を及ぼしている
  • 他者志向動機づけは、自己決定的でありがながら期待や願いに答えようとする
  • アジアでは欧州に比べて母親が選んだものに対して動機づけが高くなる
  • 承認や同調や親との関係が適応的な学習動機に対して正の相関がある
  • 挑戦* 成功欲求や社会的貢献欲求は他者志向と相関はあるが自己志向とはない
  • 母親による就学前の子供に対する期待が11、12歳の知的達成に影響を与える
  • 望ましい親子関係の中での期待は自立的に努力する動機づけを促進することが予測される
  • 親の期待が学業成績や心理への影響を調べた研究「親の期待研究の動向と展望
  • 期待の大きさや内容次第では失望や罪悪感でモチベーションを低下させることも予測される
  • 社会的な達成欲求は、他者からの承認、社会的地位の獲得、家族に対する義務、社会的貢献がある
  • 自己志向と他者志向は背反だけではなく双方が存在し、葛藤する場合も、統合する場合もある
  • 他人の為にやったら自分の為になることも、自分のためにやったら結果他人のためになることもある
  • 達成行動は意識される動機を利己的た利他的か二分法で分類すくことは困難
  • 複数の動機を持って活動している場合もある
  • 動機は時間とともに変化していく場合もある

5章 自動動機

  • 動機づけの力

    • 意識と無意識の問題を科学的に実証することは難しいとされていたが研究法が開発された
    • 動機づけを維持するためには意識の働きが強いわけではないと考えられはじめている
    • 動機づけも含む人間の精神活動の大部分は意識を必要とせず自動的に働く
    • 人は意識すること無く無意識に適切な目標を設定し行動調整をする
    • 目標のせっても状況の検出も選択や実行も明確に意識されずに自動的に働く
    • 無意識の目標達成メカニズムを自動動機と呼ぶ
    • 自動動機は、低次(運動調整)から高次(人生の決定)の目標遂行に影響する
    • 無意識は意識的な努力限界を解決する重要な手がかりを提供する
  • 自由意志の幻想

    • これまで、些細な事以外、人は意識的に決定した目標に向かって動機づけられると考えられてきた
    • 指動かしてもらう実験で脳波を計測したら、無意識で動いていたことがわかった
      • 脳波計を付けて実験すると意識が決定する0.5秒前に運動準備電位の出力があった。
    • 自由意志の感覚は、必ずしも実情を反映しているわけではないと考えられる
    • 人は自らの行動を意識して無くても予想した結果と予期せぬ結果を区別できる
    • 人は「無意識の予測」にもどついて自由意志の感覚を体験する
    • 無意識の目標と行動結果が一致していたら、自動的な因果関係推論の働きで自由意志の感覚が体験される
    • 自由意志の感覚が得られるのは、習慣化された日常も、人生の重要な決定も同様
    • 目標プロセスや動機づけが重要であり意識されているかどうかは問題ではない
  • 無意識の力
    • 目標感染
      • 他者の目標が自らの行動に影響を及ぼす
      • 他者の行動に関するシナリオから背後の目的が無意識に検出され読者の行動を変える
      • 特定の目標や役割が期待される家族や友人の近い関係だと強く影響する
      • 特定の目標を連想される集団成員(警察)や商品(PC)との接触も目標感染させる
    • 自動動機の柔軟な変化を可能にする
      • 目標追求を可能にする仕組みは習慣形勢
      • 特定の状況で同じ目標追求が繰り返されると、自動化された目標追求ができる
      • 習慣化には単純に繰り返すだけではなく状況に合わせて柔軟に対応する必要がある
      • 状況文脈→目標→手段の柔軟な反応を意識による介入が必要なくなってくる(プライミング
      • 達成場面を評価場面と捉えると不安が高まる
      • 達成場面を学習機会と捉えると不安が低下する
      • ライミングを使って自動動機に働きかけると、意識的な動機づけの程度は変化しない
      • ライミングを使うことで認知的な柔軟性が高まる
      • 自動動機は習慣化された反応ではなく環境の変化に対応できる
    • 無意識に活性化させるモチベーション
  • 意識と無意識の使い所
    • 目標を効果的に達成するためには、目標への集中と変化への柔軟さが必要になる
    • 目標達成の失敗の多くはバランスの崩壊から説明できる
    • 前頭葉の損傷は、状況への変化を損なわせる
    • 意識のほうが適した場面
      • 複数目標から選択が困難な場合(誘惑に打ち勝つ)
      • 利用可能なスキーマが存在しない(新規の課題、自由度の高い計画場面)
    • 意識的に計画を立て阻害原因と行動を紐づけておくと行動を自動化させることができる
    • 集中と柔軟のバランスが取れている目標への見直しは達成を阻害することもある
      • スポーツなどで意識すると逆にできなくなる現象
    • 意識は、言語化された情報を重視し、言語化されてない情報を軽視する傾向にある
    • 意識の効果的な使い方
      • 行動や動機づけを支えることではない
      • 自らの行動を信念や社会のルールと照らし合わせ自覚的に解釈すること
      • 自己観を共有して社会的な現実を構築すること

『モティベーションの12の理論』を俯瞰して理論や特徴を抽出した1、2、3章分

動機づけの理論を網羅的に学ぶために、改めて書籍『モティベーションの12の理論』から理論や特徴、可能なら尺度も含め参照できるようにまとめた。

これらの複数の要因によって起こる。

  • エンゲージメント(質の高いやる気)の側面

    • (1)行動的エンゲージメント(どの程度取り組んでいるか)
      • 課題に注意を向けている
      • 熱心に取り組む
      • 努力している
      • 専念している
      • 没頭している
    • (2)感情的エンゲージメント (どの程度ポジティブ感情を伴っているか)
      • 満ち足りている
      • いきいきしている
      • 楽しんでいる
      • 誇りを感じている
    • (3)認知的エンゲージメント (深く理解したり、 高い技能を身につけようとしていて、自分の活動を計画 確認 評価する問題解決プロセス)
      • 目的を自覚している
      • 方略を吟味する
      • チャレンジを求める
      • 熟達を目指す
      • 積極的に参加すうる
      • やり抜く
  • タスク型やる気(課題関与

    • 熟達に関心が向けられている
    • 特定の対象や内容に興味や意義付けや価値付けを伴う
    • 質が高い)
  • エゴ型やる気(自我関与
    • 能力があることを示すことに関心を向けている
    • 自尊心を中核としている
  • 賞罰型やる気(外発的動機

    • 賞を得る
    • 罰をさける
  • 自己決定理論

    • 認知的評価理論
      • 環境が内発的動機づけに影響するかの理論
    • 有機的統合理論

      • 外発的動機づけの自律度に応じた分類
        • 無動機づけ(無気力)
        • 学習したいと思わない
        • 外的調整
          • お母さんに言われるから
          • やらないと怒られるから
        • 取り入れ的調整
          • やらなければならないから
          • 恥をかきたくないから
        • 同一化的調整
          • 自分にとって重要だから
          • 将来のために必要だから
        • 統合的調整
          • やりたいと思うから
          • 学ぶことが自分の価値観の一致しているから
        • 内発的動機づけ
          • 楽しい
          • 興味がある
        • 尺度(「自律的な学習動機づけとメタ認知的方略が学業成績を予測するプロセス 」中村* 川村 * 桜井2001)
    • 因果志向構成理論

      • 分類
        • 自立的指向性
        • 統制的指向性
        • 非自己的指向性
      • 尺度(「一般的因果律志向性尺度の作成と妥当性の検討 」田中 * 桜井1995)
    • 基本的心理欲求理論
      • 関係性の欲求
      • 有能さへの欲求
      • 自律性の欲求
    • 目標内容理論
      • 将来の目標を外発的人生目標と内発的人生目標に分類
      • 内発的的人生目標が高い場合は、達成過程と達成時に精神的健康と幸福感が得られる
      • 内発的人生目標の例
        • 人と仲良くなる
        • 人として成長する
        • 社会に貢献する
      • 外発的人生目標の例
        • お金持ちになる
        • 有名になる
  • 生物の根源的動機(接近的/回避的)

    • 分類
      • 接近的動機づけ
      • 回避的動機づけ
        • 接近的動機づけよりも強力
        • 副作用として結果が悪くなる
        • 回避的な目標設定をしている人ほど長期的なメンタルヘルスが低下する
    • 近い理論にフレーミング理論がある
    • 同じ結果を求めても「成功するよ」「失敗するよ」というのでは結果が異なる
    • どちらの動機を持ちやすいかは個人差がある

現場でよくある経験学習だけ実施する問題点を考える(将棋の上達から考察)

概要

私は、実務では理論をひたすら勉強しながら実践を繰り返すので、経験学習だけに頼ることはあまりしない。理論を学ぶほうが早く結果を得られるからだ。

しかし、将棋をやっていると、結果を出すことよりも対局を楽しむことに比重を置いていたため、基礎的な勉強(詰将棋、定跡、手筋を覚える)をせず、経験学習(対局後の検討、振り返り)のみ実施していた。そのため、上達が非常に遅くなっていたため、基礎的な勉強をするようにした。結果として、非常に早く上達するようになった。

今回は、将棋を例に、基礎的な勉強をすること得られた能力と、勉強をしなかったことで上達を遅くした理由を気づいたものを列挙し、仕事での経験学習だけ実施する問題点を考える。

本文

将棋の経験

経験学習としてやっていたことは何かというと、将棋を指した後にアプリで解析をしながら自分の上手くできたところ、失敗したところを確認していました。具体的には、指した後にアプリでの形勢が悪くなれば失敗、良くなっていれば成功とし、失敗したところに関してはアプリの推奨を確認して覚える形でした。

その結果どうなったのか。

同レベルにしか通用しない手を学ぶ事になりました

同レベルにしか通用しない手を学ぶのは、アプリで検討しても気づくことができないこと、こちらが間違えても相手が間違えれば形勢が悪くならないので発生します。

人同士の対局だとこちらが悪い手を指しても、相手が見たことがない手だと先を読む能力が足りず、対応に間違えやすくなります。それが比較的低い相手だと、多く出現します。

そのため、強い相手には通用しない手を打っても、結果的には形勢が良くなったり、勝ったりして強い相手に通用しない手を覚えてしまいます。 アプリの形勢では、1手ごとに大きな失敗をするとわかるのですが、数手使って失敗したときにはアプリによっては指摘がされづらかったりします。こちらが失敗しても、それに対する対応を相手が失敗した時は、何が問題だったか気づけ無いことが多いです。

それが基礎的な勉強をしたらどうなるのか。

高いレベルに通用する手を学べる

なぜ、そう言えるのか。 基礎的な勉強として、定跡の勉強を上げると、プロが高いレベルで将棋をした結果得られた互角に戦える進め方が提供されている。もし、相手がその手順に乗っ取らずに攻めてきた場合には、返し技があり数手先に損をしてしまうようなことがある。 しかし、そのために先に損をしないといけない場合が多く、短期的に大きな損をしないような考え方をしていた場合には得ることができない結果になる。

また、詰将棋においても同様で、勝利条件である相手の王様の行き場をなくせばいいところに最適化するため、最後の状態がイメージできるので途中で短期的な損をしながら、勝ちまで進める手順を学ぶことができる。しかし、長期視点を持てていないと短期的な状態に最適化して勝ちを逃してしまうことが多い。 詰将棋をすることで、勝利条件まで逆算することで必要な損をしやすい。

ここから得られたものを抽象化すると、「環境要因に対して最適化してしまうこと」から避けられることがわかる。 そのための対策としては、熟練した人が長期的な視点において考え抜いた基礎的な勉強をすることが、上達するために少ない労力で結果を得ることができるといえよう。

そのうえ、教材として優れているものであれば、学習者が網羅的に要素を学ぶことができるように設計されている。

将棋の場合は、論理だけで構成されているため、科学よりも先人の知恵の確かさが高い。 例えば、科学であれば、天動説が正しいとされていたが、地動説に置き換わるということもあるし、社会科学の例だと別の実験では再現しないなどということもよくあるのが異なる。

現場への適応

現場では、経験学習を声高に推奨されているが、何も枠組みとする理論がないと環境依存しやすいのではないだろうか。

それは、何度も失敗しながら覚えるのだろうが、「なぜうまくいかないか分からない」状態を多く体験し、他の人の経験から学んで失敗することも多いだろう。自分でうまくいくことを探求する能力は必要であるが、基礎的な理論を学んでから出ないと、車輪の再発明をすることにもなる。

経験学習の研究としても、理論を学ぶことは推奨されている。しかし、経験学習重視の人は、そこに関する意識が弱く経験を活かしきれていないことも多い。 これが発生しやすい原因は、理論を学ぶと成長が加速するのであって、理論を学ばないと成長しないわけではないからであろう。前に進まないのが当たり前、低速で進むのがたり前だと考えていると、理論を学ぶことに気づくことは難しい。解決策を知らない人は課題に気づけないのである。 

また、同じ部署などコンテキストが同じでないと問題が解決できない場合、自由市場に自分を投入できないため市場価値を上げることも難しい。

IT業界であれば、表面上の仕組みを学ぶだけでも大きく成長するので、勉強会という形で学ぶ場が提供されていることが多い。

自分の将棋のアウトプットの傾向を分析する

概要

少し前から、将棋をやるようになったが、2級あたりから伸びが悪くなってきた。 そこで、自分の将棋の傾向を見つけるべく20局程度の結果を分析した。

結果として、自分は序盤でリードを作って相手に投了させる勝ちパターンが非常に多いことがわかった。 いくつかの枠組みで確認したところ、自分の弱点は終盤力であることがわかる。

他の人の分析にも使えるように役立つように、簡単に状況をまとめる。

内容

勝ちパターンの列挙

将棋ウォーズの3分切れ負けルールでの対局結果を、ぴよ将棋というアプリで分析しながら考えた。

勝ちパターンで多かったのは以下

・前半 ・序盤の仕掛けがうまくいって形勢に大きく差がついて相手が投了 ・相手のミスを咎めて(角で桂香をとるなど)形勢に大きく差がついている ・後半 ・王様をあまり囲わずに攻めてくる相手で、攻撃を受けるのが上手くない ・駒に余裕があり同じパターンで詰められる(片方の逃げ道が塞がれている)

逆に、後半まで行くと勝てることが少ない。

負けパターンで多かったのは以下

・仕掛けに失敗して大きく差がついて投了(級位が負けている場合が多い) ・序盤にリードしていたが時間が足りず時間切れ負け ・序盤にリードしていたのに途中で逆転される ・受け方が上手く詰めに至れないで時間と手数を消費する ・詰みを見逃す ・序盤にリードしたが最後の詰めるタイミングで見落としがあり逃げられて詰まなくなる ・駒損して攻めることを考えることが少ない

考察

ここから後半の詰める力の弱さと、守りの崩し方が弱いことに気づく。 逆転勝ちすることはあまりなく、逆転負けすることが多い。 上手く改善できているのは、見たことのない攻め方に対しては推奨手を学んで次回以降使うようにしている。

前半は、同じような展開を多く経験しているため、毎回読まなくても同じような対応をしていけば強くなる。 中盤以降に逆転されることが多いことから、中盤・終盤力を強化する必要がある。

中盤以降は、毎回決まったパターンが使いづらいので、ベースの手数を読む力が不足しているのではないか。 今後は、読みの力を強化すべく、詰将棋に前向きに取り組むか、次の一手を考える。

どうして人はものを買うのか ~問題認識と情報探索編~

消費者行動論を読んで消費者行動の基本プロセスが面白かったのでまとめる。

どんなマーケティングをやったらいいのか判断するために、人の購買メカニズムを知りたかったため、 消費者行動について勉強しました。

今回は、プロセスの中の購買前行動の中の問題認識と情報探索についてまとめます。 すべてのプロセスの列挙は以下。

購買前行動 問題認識 *情報探索

購買行動 購買意思決定

購買後行動
 評価 *満足/不満

問題認識

問題認識は、動機、経験、情報の要素で構成されている。

動機は、目的を達成しようとする意識。iPhoneの新しいモデルが出たから欲しいと考えるようなこと。 経験は、過去の行動から得られた知識や思考法の記憶状態。過去の購入経験が影響し、過去に買ったものに満足していると問題認識しないが、満足していないと問題認識かが高くなる。 情報は、文字、色、形状、イメージ、商品情報、日常生活で得られる情報など。企業が発信するマーケティング情報の影響を受けやすい。

行動は、動機付けされているから発生する。しかし、動機付けされていても条件が満たされないと行動できない。例えば、高すぎて買えないなど。特定の目的に動機付けされても、消費者は同じ行動をとるとは限らない。ある環境下で行動に導くのが動機付けの役割。

過去の問題解決を経験することで、動機付けが学習される。(行動療法みたいな?) 例えば、ブランドロイヤリティー。ブランドロイヤリティは、消費者の非常に強い信頼と欲求によって形成される。

消費者行動には、リスクが伴う。

動機付けとニーズ。 ニーズは、食物、水といった名詞として存在していて、動機は、空腹、乾きなどをさす。新規製品開発ならニーズから動機付けまでをサポートするが、そうでなければ動機付けのウエイトが高くなる。

(ニーズは解決策で、動機は課題意識ではないか。ニーズで指している水を知っているから乾きと感じる。だから、解決策が存在するとも思っていないと、動機付けが難しい。)

情報探索

情報探索は、購買意欲の強さと、探索対象によって分類されている。

購買意欲の強さでの分類は、強い意志を持っている積極的探索活動と、漠然としている消極的探索活動である。

積極的探索活動は、確固たる購買意図がある。店を訪問したり、自分から調べたり、代替品と比較する。 消極的探索活動は、漠然とした購買意図がある。日常生活の中で表示された広告を見るなど。購買への影響は低い。

探索対象での分類は、過去の記憶をもとに想起する内部情報探索活動と、自分の記憶以外の外部の情報を収集する外部情報探索活動である。

過去の記憶をもとに内部情報探索活動をして、情報が不十分だったり、環境変化があると新しい情報を入手するために、外部情報探索活動をする。 外部情報探索活動では、企業が発信しているマーケティングのための情報を集めたり、友人知人とのコミュニケーションをすることで新たな情報を獲得する。

最近はブランド志向の消費者が増えている。それは、本物志向、差別化志向、ブランドの信頼性、信用があるから。

マーケターの取るべき行動は、自己ブランドの有用性を知覚させ、ブランド評価を高める情報を提供すること。

消費者のブランド選択諦めポイント 入手可能な範囲を超えている。 動機に適合しない 情報不足 使用しているブランドへ満足 *マーケティングコミュニケーションに消極的

参考文献